ウォールアートで彩る街 コロナ休業店主が描くハッピー
四国八十八カ所霊場23番札所の薬王寺(徳島県美波町)の門前町の一角、色鮮やかな大きな絵が壁に描かれている。磯中太志さん(33)によるウォールアート(壁画作品)で、昨年4月からこの絵を皮切りに4作品を描き、5作目を準備している。きっかけは、コロナ禍だった。
磯中さんは山口県出身。アジア、豪州、北米、南米を旅した後、4年前に美波町に移住した。「TAISHI ART WORKS」を屋号にアート活動をしている。
門前町の桜町通りにある元遍路宿で、仲間2人と「at Teramae」を2018年4月にオープンし、共同経営している。デザイン事務所と服飾店、コーヒースタンド、ギャラリーがある空間で、寺前地域にちなんで名付けた。
しかし、新型コロナウイルスの感染が国内で広がった昨年、店をいったん閉めることにした。時間ができたことで「なかなかできなかったことをやろう」と、ウォールアートを思い立った。海外で見て、街を楽しくしていると感じていた。
昨年4月、「at Teramae」の駐車場に面した倉庫の壁(幅6メートル、高さ8メートル)にペンキで1週間かけて作品を描いた。雲のようなほんわかしたキャラクターに、桜町通りにちなみ、桜をあしらったカラフルな絵だ。
「うちにも描いて」と町内から次々と声がかかるようになり、6月には防水工事会社「ナカバリコート」の倉庫のシャッターに地域に伝わる「吹筒花火」(幅4・6メートル、高さ4メートル)、9月には鶏料理店「odori」の壁に阿波尾鶏(幅1・5メートル、高さ1・7メートル)をモチーフに描いた。店の営業を再開した今年1月には「at Teramae」裏庭の小屋の壁に4作目を仕上げ、今春には桜町通りのスーパーの壁に5作目を制作する予定だ。
磯中さんは「コロナ禍でも密にならないウォールアート巡りをしたり、地域の話の種にしたり、楽しんでほしい。ハッピーでポジティブな作品を、目標は5年で100個くらい描きたい」と話している。(斉藤智子)
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