高知県予算、総額4635億円 新型コロナ影響で税収減

加藤秀彬
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 高知県は16日、総額約4635億円の2021年度一般会計当初予算案を発表した。予算規模は前年度並みだが、新型コロナウイルスが県内の経済活動に与えた影響は大きく、県税収入はリーマン・ショック以来の落ち込み幅となった。21年度予算案は20年度の補正予算案とともに、22日に開会する県議会2月定例会に提案する。(加藤秀彬)

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 歳入では、県税は630億円で前年度比6・2%減。2008年のリーマン・ショックの影響を受けた10年度以来の減少幅となった。新型コロナの感染拡大は県内企業の業績を直撃し、法人事業税と法人県民税が前年度比で計27億円減る見込みだ。

 税収減となった代わりに国からの地方交付税交付金が増額され、一般財源は前年度から微増となった。

 75億円の財源不足を補うため、県の貯金にあたる財政調整的基金から44億円を取り崩した。同基金の21年度末の残高は129億円。19年度までの15年間は200億円以上の水準を維持していたが、ここ数年は南海トラフ地震対策などの大規模事業の影響で減少が続く。コロナ対策の地方創生臨時交付金の活用や事業見直しも進め、財源不足は前年度から16億円圧縮したという。

 歳出では、新型コロナ関連で病床を確保する医療機関への補助金などが増加し、補助費が前年度から109億円増の1257億円。

 普通建設事業費は前年度から129億円減の842億円となった。県が実施する道路整備や警察庁舎の整備などにあてられる。

 ただ、2月の20年度補正予算案では、南海トラフ地震対策や河川の災害防止対策として国の財政支援制度を活用し265億円を計上する。これらの事業を計上した結果、21年度内に執行される実質的な当初予算の総額は、前年度比205億円増の4959億円と大規模になった。

 補正予算案では税収の落ち込みを補うため、04年度以来となる43億円の減収補塡(ほてん)債も発行する。

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 21年度一般会計当初予算案の柱となるのは、新型コロナウイルス対策とデジタル化推進の環境整備だ。

 新型コロナ対策には140億円を計上した。このうち71億円はワクチン接種態勢の構築や患者を受け入れる病床の確保など、感染拡大防止や医療態勢の強化にあてる。

 新型コロナの経済対策では64億円を計上する。移住者らを県内へ呼び込むための地方暮らしのセミナーや長期滞在ツアーの開催費用に3千万円。全国の県出身の大学生らを対象に、県内での就職を促すイベントなどに6800万円を盛り込む。

 デジタル技術の活用促進には28億円をあてる。中小企業のデジタル化の促進費などに2700万円。県産業振興センターに「デジタル化推進部」を新設し、支援態勢を強化する。小売業では来店者の店内の行動を人工知能で解析し、店頭に並ぶ商品の陳列に反映させる。製造業では、工場の生産状況を営業職らが把握できる管理システムを導入する。

 2月の20年度補正予算案でも新型コロナの経済対策を追加する。県の営業時間短縮要請に応じた協力金の支給とは別に、事業規模に応じた追加の給付金制度を新設する。

 対象は昨年1年間の売り上げが前年比で15%以上減少し、昨年12月~今年3月までのうち連続する2カ月の売り上げが同比で30%以上減少している事業者。業種は飲食業に限定しない。

 給付額は事業者が負担する社会保険料を基準に減収の割合を掛けて算出する。県内で計約1400事業者が対象となる。

 浜田省司知事は16日の記者会見で「ワクチンの接種が始まり、コロナの収束に向けた社会、経済構造への変化の対応に本腰を入れる時期が来るのが来年度だと思っている」と語った。

主な新規事業

新型コロナウイルスのワクチン接種態勢の確保(1400万円) ワクチンの副反応などについて、電話相談窓口を設置。

◆建設分野のデジタル化推進(5400万円) ICT(情報通信技術)を活用する建設業者へ機器の導入や技術者講習の費用を支援。

◆高知版ネウボラの推進(1100万円) 妊娠から子育て期までを市町村が切れ目なく支援する「高知版ネウボラ」の態勢強化のため、県が専門家を派遣。

◆関西戦略のプロモーション活動(1億4100万円) 25年の大阪・関西万博を見据え、大阪観光局と連携して県内への観光客の誘致を推進。

◆知的障害特別支援学校の設置(9800万円) 県立高知江の口特別支援学校高知市)の校舎を改修し、新しい知的障害特別支援学校を設置。