兵庫県新年度予算は過去最大の2兆7304億円

武田遼
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 兵庫県は16日、2021年度の当初予算案を発表した。新型コロナウイルス対策の経費が1兆円を超え、一般会計の総額は前年度比36・8%増で過去最大の2兆7304億円となった。一方で県税は企業の業績悪化などで1割以上減り、歳出抑制を余儀なくされた。

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 特別会計や公営企業会計を含めた総額も過去最大で4兆6068億円となった。

 歳入では、コロナ禍による企業の業績悪化や消費低迷により、法人関係税や地方消費税が減少。県税は前年度当初比で919億円(10・7%)減った。

 県が借りて返済は国の地方交付税があてられる臨時財政対策債が同605億円(64・5%)増え、コロナ対策や衆院選の経費など使い道を決めて国から渡される国庫支出金も同393億円(21・8%)増えた。県債は公共事業などの財源としてだけでなく、県税の減少を埋めるためにも発行し、同32億円(2・5%)増えた。

 予算総額を押し上げた最大要因は、コロナ対策として中小企業に低利で貸し付けを行う制度融資の拡充だ。金融機関が低金利で融資できるよう県が出す預託金は、前年度から7126億円(294・1%)も増やし9549億円になった。

 歳出は切り詰めた。

 公共事業など投資的経費は、前年度比12・6%減の1952億円。県が独自に行う事業は予算額で1割ほど減らした。施設維持費や経常的経費などは、予算の上限を一律に前年度比80~95%以内とするシーリングをかけて約15億円を捻出するなどしたという。

 歳入の不足を穴埋めするために今回、初めて県債の特別減収対策債が認められ、146億円分を発行した。だが、今後も国が発行を認めるかどうか分からず、県は22~27年度で計330億円の収支不足が発生すると試算している。

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 井戸敏三知事は新年度予算を「ポストコロナ社会のスタート予算」と命名。コロナ禍を契機に相談が増えている県内移住の促進事業や、行政手続きのオンライン化など「未来への投資」に力を入れる。

 起業家の支援にも3億4422万円を計上。コロナ禍で生じた課題の解決をはかるビジネスなどが対象の「ポストコロナ枠」も新設。地域活性化を担う起業家には最大200万円を支援する。

 一方で、県庁舎を高層ビルに建て替える計画はコロナの影響で進まなかった。基本設計にあてるはずだった予算3億円はそのまま新年度に持ち越す。

 主にコロナ対応のための今年度2月補正予算案(2279億1400万円)は、新年度当初予算と一体編成した「14カ月予算」として組んだ。入院病床や宿泊療養施設の確保料(232億7600万円)、ワクチン接種態勢の整備(3億2600万円)、ウイルスが体内で広がるのを防ぐ「中和抗体」を使った治療薬の研究・開発支援(6千万円)などが含まれる。(武田遼)

新しい事業、広げる事業

新型コロナ対策

・医療提供体制の充実=299億5900万円

 病床確保で発生する空床補償費、人工呼吸器などの経費支援、宿泊療養施設の借り上げ費用など

◇医療福祉

・県立がんセンターの建て替え=2億259万円

 総事業費約268億円で2025年度開院予定。21年度は基本設計の費用など

◇防災

・遠隔情報共有システム(Hec-Eye)の整備=3100万円

 災害現場の映像などを電子地図上に落とし共有。消防団員ら約4万1千人を活用

◇家族、子育て

・一時保護所の整備=2億2178万円

 県内1カ所しかない同施設を川西市に新設。23年度中の開設を目指す

・出会いや結婚支援=1億1585万円

 お見合いイベントやセミナーの開催

◇観光

・兵庫津ミュージアムの整備=740万円

 21年度秋に「初代県庁館」、22年度後半に県の歴史をたどる「ひょうごはじまり館」の2施設を神戸市内に整備。総額約32億円

地域振興

・県内滞在型の就業体験=1001万円

 首都圏からの求職者に滞在費などを補助。主に中小企業への就職あっせんも

◇教育

・修学旅行を中止した県立学校の支援=9200万円

 新型コロナによるキャンセルの費用など負担

特別支援学校の新設=8億6677万円

 24年4月までに西宮市川西市に各1校。総事業費は計約90億円

※一部2020年度2月補正予算を含む