コロナ影響で収支不足228億円 大阪市予算案

笹川翔平 本多由佳 長富由希子
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 大阪市は16日、総額1兆8301億円の2021年度一般会計当初予算案を発表した。20年度より601億円増えた。新型コロナウイルスの影響で市税収入が301億円減の7119億円となる一方で、対策費などがかさみ、228億円の収支不足となる見通しだ。収支不足が200億円を超えるのは15年度以来になる。

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 市税収入は2年連続で前年度を下回った。新型コロナの影響で法人市民税の落ち込みが大きく、20年度比299億円減の791億円となる見込み。不足を補う市債(借金)の発行額は326億円増の1820億円にのぼる。このうち719億円は国が将来返済を担う臨時財政対策債が占める。

 新型コロナ対策に加え、生活保護費として38億円増の2779億円を計上したことなどが歳出増につながった。生活保護費は9年ぶりの増加になる見込み。

 228億円の収支不足は不用地などの売却代78億円のほか、財政調整基金(貯金)を150億円取り崩して埋める。基金残高は20年度末見込みより192億円減の1245億円となる。

 市は今後10年間の財政収支の概算(粗い試算)も公表した。コロナの影響が21年度だけの前提でも、23年度以降は大阪・関西万博の関連経費や高齢化に伴う社会保障費の増大で、23億~198億円の赤字になるとした。(笹川翔平)

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 新型コロナ対策には総額494億円を計上した。ワクチン接種事業に167億円を充て、コールセンター設置や接種券配布、会場確保などを進める。PCR検査の充実にも96億円を計上しており、市の担当者は「昨年秋以降と同規模の感染拡大が21年度を通じて続いた場合でも十分対応できる」と説明する。ほか、自宅療養者への配食サービスに19億円、医療用マスクやガウンなどの資材購入に2億円を盛り込んだ。

 子育て世代の経済的負担を和らげるため20年度から始めた小中学校の給食無償化は、21年度も所得制限なしで続けるため、60億円を計上した。飲食店などの上下水道料金の減免には71億円を盛り込んだ。

 19~21年度の新型コロナ対策費は計1130億円にのぼる。国の地方創生臨時交付金を活用できるが、20年度分の交付額は362億円にとどまる見込みだ。市は財政調整基金の取り崩しなどで不足分を賄う方向だが、コロナ禍の負担は市財政に重くのしかかることになる。(笹川翔平)

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 25年に此花区の夢洲(ゆめしま)で開かれる大阪・関西万博に関し、会場整備費など42億円を盛り込んだ。会場建設費は計画変更に伴い当初見込みの1・5倍の約1850億円となる見通し。市はうち6分の1を負担することになっており、10億円を会場や駐車場の設計費に充てる。

 土地造成や道路などのインフラ整備には、万博誘致が決まった18年度以降で最大の167億円(特別会計分を含む)を計上した。コンテナターミナルがある夢洲ではトラックなどの渋滞解消が課題で、ターミナルのゲートでの手続きを効率化するシステム導入などに4億円を盛り込んだ。

 シャトルバス専用道路として活用する予定の阪神高速淀川左岸線の2期区間(約4・3キロ)の事業費は179億円。この一部で、土壌汚染の処理や埋設物の撤去などによる事業費の増加分(最大756億円)を手当てする。(本多由佳)

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 教育分野では、市立小中学生への1人1台のノートパソコンなどの端末配備が今年3月末で完了することを受け、本格活用などに計66億6600万円を計上した。

 授業や家庭学習で使えるよう、端末上で問題を解く「デジタルドリル」のソフトウェアなどを17億円で導入する。いじめなどの悩みを子どもが入力すれば、学校や教育委員会に相談できる仕組みづくりなどに8億1100万円を計上した。

 端末利用を円滑に進めるため、4億円を投じ、各校を訪問する技術支援員を現在の8人から37人にする。

 老朽化が進んでいる市教育センター(港区)に代わり、教育内容の研究や教員研修をする「市総合教育センター(仮称)」を大阪教育大天王寺キャンパスに24年度に開くため、設計費3500万円を計上した。総事業費は12億円の見込み。新センターは大教大と連携し、端末利用を通じて集めた子どもたちの学習データを分析し、学力向上プログラムの開発などをめざす。(長富由希子)