第21回東大理Ⅲに現役合格、上田彩瑛さん SNS断ちの高2冬
受験する君へ 東大理Ⅲに現役合格した上田彩瑛さん
東京大学の中でも最難関と言われる理科Ⅲ類(医学部)に現役合格し、現在2年生の上田彩瑛(さえ)さん(20)。医師を目指して勉強しながら、タレント業にも挑戦しています。上田さんがどのように受験生活を過ごしたのか聞きました。
うえだ・さえ 2000年生まれ、大阪府出身。東京大学の中でも最難関と言われる理科Ⅲ類に現役合格し、1年生の時に「ミス東大コンテスト2019」でグランプリを受賞した。
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高校1年の秋にインフルエンザの予防接種を受けました。その直後に倒れて意識がなくなってしまったのです。すぐに良くなりましたが、自分の体に何が起きているのかわからないのが悔しくて、不安でした。体の仕組みを勉強すれば、自分と同じように体の不調に不安を抱えている人たちの悩みを取りのぞけるのではないかと思い、医師を目指すことにしました。
塾に通い始めると、周囲に東京大学を志望する人が多く、私も東京大学について調べてみました。すると、他の大学よりも一般教養を学ぶ時間が長く、医学以外にも自分が好きな数学を学ぶ時間があると思いました。東京大学理科Ⅲ類を志望校に決めたのは、高校2年になってからでした。
志望校を決めたのが遅く、他の受験生より勉強量の差があるのはわかっていたので、くよくよ悩んでいる暇があったら勉強をしようと心がけていました。自分より学力が上の人しかいないと思っていたので、追う立場として、少しでも手を動かして勉強しました。
効率よく勉強するために意識したのは、先の行動を考えながら生活することです。例えば、通学の時間やお風呂の時に、後でこの時間にはこの勉強をして、とシミュレーションをしました。椅子に座った時に、「さて、何をしよう」と考える時間がもったいないからです。寝る前には、机の上に翌朝取り組む参考書を開いたままにして、起きたらすぐに勉強できるようにしていました。
高校3年の夏以降は、生活を入試の時間に合わせるようにしていました。試験は朝早くから始まるので、その時間には頭が働いているように12時ごろには就寝し、毎朝6時半から7時には起床。昼寝をするにも、試験の昼休み時間や試験後の時間になるよう心がけました。
英語のリスニングでも、最初はイヤホンで勉強していましたが、本番はスピーカーから音声が流れてきます。スピーカーに慣れるため、家でもスピーカーで音声を流して勉強するようにしました。
勉強に集中するため、高校2年の冬ごろから「SNS断ち」をしました。アプリは全て消し、「SNSを見たら落ちる」と自分に暗示をかけました。受験が終われば、好きなだけできると思っていたので、苦ではありませんでした。3月に合格した後、久しぶりにSNSにログインをしたら、知らない機能がたくさんあって驚きました。
限られた時間の中で、間違えた問題は1日で克服できるように気をつけていました。間違えやすいところや、なかなか覚えられないことは、ふせんに書いて机の見える場所に貼っていました。このふせんは、ルーズリーフに貼って本番では東京まで持っていけるようにしました。自分が苦手なことや対策を書き出したノートとともに、試験の前夜や試験直前まで見返しました。自分が苦手なことが可視化され、安心感がありました。
今の受験生のみなさんは、合格後のキャンパスライフがどうなるか不安に思っている人もいるかもしれません。私の場合は、授業はオンラインが中心になり、所属するジャズダンスサークルは対面で活動できなくなりました。でも、デメリットばかりではありません。遅い時間の授業や、時間割で空き時間が長い授業でも、自宅にいながら受けられるので、興味がある授業を好きなように受講できました。
友人とは、オンライン会議システム「Zoom(ズーム)」を使って、話したりゲームをしたり。ダンスサークルの活動も、感染対策をしながら対面練習が再開しました。様々なサークルや先輩方がSNSを活用して情報発信をしています。
今年の受験生は今までにないことがたくさん起き、準備が大変だったと思います。私は試験の日、机にへばりついてでも問題を解こうという気持ちで臨んでいました。わからないということに気づいている自分は有利だ、と言い聞かせて、粘り強く考えました。諦めたら終わりです。最後まで粘ってください。(聞き手・阿部朋美)
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〈うえだ・さえ〉2000年生まれ、大阪府出身。東京大学の中でも最難関と言われる理科Ⅲ類に現役合格し、1年生の時に「ミス東大コンテスト2019」でグランプリを受賞した。

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