第2回「安らかに眠ってけろ」400年続く巡行神楽、鎮魂の舞

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盛岡総局・御船紗子
【動画】岩手県沿岸部を巡る神楽を通して、東日本大震災10年のいまを感じた=御船紗子、小玉重隆撮影
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 10年前の東日本大震災の時でも中止されることがなかった伝統行事が岩手県沿岸部にあるという。甚大な被害を受けた人々にとって、どんな存在なのか。私(26)は訪ね歩いた。

記者が歩く 東日本大震災10年

 東日本大震災から間もなく10年。余震はいまも続き、13日夜にも最大震度6強の揺れが襲った。復興に向けた人々の歩みは、前に進んだのか。被災地を記者が歩き、考えました。

 夜の山を歩く。「オオーー」。男たちのかけ声。ほらの音が響いている。

 昨年7月、宮古市。私は神社の儀式の取材に向かった。暑さに蒸され、住宅街から4キロ先の山頂にたどり着いた時は汗だくだった。

 「黒森(くろもり)神楽」という。「神が宿る」とされる雌雄一対の獅子頭を持ち、布でできた色とりどりの「髪」を振り乱す。踊りは涼しげで厳か。なのに肌がざわつくような迫力。気づくと、周りの人たちと一緒に食い入るように見つめていた。

写真・図版
黒森神社のご神体を氏子総代会長の家から本殿へ帰す行列。神社の改修工事の間、氏子総代会長宅で預かっていた=2020年7月5日、岩手県宮古市、御船紗子撮影

 私は奈良育ち。神社仏閣には親近感があり、高校生の頃は年末年始の神社で巫女(みこ)のアルバイトをした。参道に出店がひしめき合い、参拝客が境内を埋め尽くしていた。

 ただ、山上の神社はそのときの風景とは対照的だった。「奥が深いから、きっとはまるよ」。かつて先輩に聞いた言葉を思い出した。

2011年も途切れなかった巡行

 神楽は「神をまつるために奏…

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