江北町なのに肥前山口駅 改称目指す町長、反対署名も

福岡泰雄
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 佐賀県江北町にあるJRの「肥前山口駅」。山田恭輔町長は町の知名度を上げようと、町名に合わせて駅名も「江北駅」にすることを目指している。一方、100年以上の歴史がある現在の駅名を残してもらいたいという声もあり、有志の町民らが改称反対の署名を集め、22日に提出する。

 山田町長は昨年2月の町長選で無投票再選した際、公約の一つに「駅名改称」を掲げていた。長崎線佐世保線の分岐点としても知られる肥前山口駅。改称を考えるようになったのは、ある県人会で、駅名は知っていても、江北町のことを知らない人がいたのがきっかけという。

 江北町は人口約9700人。1932年に山口、小田、佐留志の3村が合併して江北村に、52年に町になった。肥前山口駅の住所は江北町山口だ。

 来年は町制施行70年を迎える。九州新幹線西九州ルート(長崎新幹線)の武雄温泉―長崎間の開業予定の年でもあり、山田町長はこの年の改称に意欲を示す。

 町によると、改称の作業は単に看板だけにとどまらず、路線図や運賃表、改札機、券売機などにも及ぶ。その費用は数億円かかることもあるという。

 自治体の要望で改称する場合は、費用は自治体の負担となる。ただ新幹線開業に伴うJR九州のシステム改修があるため、町はこれと同時に改称の作業も進めれば、負担は減って「1億円程度」になると見込んでいる。山田町長は「県民でも、江北町がどこか知らない人がいる。町の将来のためには、決して高くない投資だ」と語る。3月に予定されている町議会定例会には、駅周辺整備などの予算案を提出する方針だ。

 これに対し、町民ら8人が「『肥前山口』駅名を守る会」をつくり、駅名を変えないよう求める署名活動を1月5日から始めた。

 駅は元々、1895(明治28)年に「山口駅」として開業。山口市に同じ名前の駅ができたことから、1913(大正2)年に「肥前山口駅」に改称された。「山口」という名称は、明治、大正、昭和、平成という時代を経て使われている。

 「守る会」は「愛着のある駅名を変えないでほしい」と訴えている。代表の家田和枝さん(68)は「『肥前山口』はとてもなじみがある、歴史や由緒がある名前。駅名を『江北』に変えても、町の知名度が今さら上がるとは思えない」と話す。

 22日は役場を訪れ、署名を山田町長に手渡すことにしている。(福岡泰雄)