詠まずにはおれぬ 朝日歌壇・俳壇に刻まれた震災10年

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佐々波幸子、西秀治
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 東日本大震災の発生からまもなく10年。被災した直後から「詠まずにはおれない」と朝日歌壇・俳壇に投稿を重ねてきた3人の短歌や俳句から、この10年をたどった。佐々波幸子、西秀治)

桜並木の福島はるか 東京に移住した半杭さん

 薄桃色の花をつけた枝が道の両脇からアーチをつくり、トンネルのように2キロ以上続く。桜並木が自慢のふるさとは、福島県富岡町の夜(よ)の森(もり)地区にある。半杭螢子(はんぐいけいこ)さんの自宅は東京電力福島第一原発事故により、いまも帰還困難区域に指定されたままだ。

 大きな揺れに見舞われた2011年3月11日。余震が続き、庭にとめた車の中で夫の敦実(あつみ)さんと眠れぬ夜を明かした。翌朝早くから散乱した室内を片づけていると、午前7時ごろ、避難を呼びかける防災無線が聞こえてきた。「2、3日で戻るつもりで」小ぶりのリュックを背負って町が用意したバスに乗り込んだ。何台も連ねたバスが到着した先は、隣接する川内村の小学校の体育館だった。車が殺到し、いつもなら30分で着くところ、5~6時間かかったことを覚えている。

 避難所のおにぎり一つの朝食に我も加わる長蛇の列に(朝日歌壇2011年4月18日)

 体育館で5日間過ごした後…

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