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 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)による女性蔑視発言は、海外でも相次いで批判的に報道された。その際、欧米の主要メディアで頻繁に使われたのが、「ジェンダーギャップ(男女格差)ランキングで日本は153カ国中121位」という表現だ。このランキングは何を意味するのか。世界の国々と比べ、日本の男女格差はいま、どんな状況にあるのか。議会の男女比率均等を目指して女性議員のなり手を育てる「パリテ・アカデミー」共同代表で、ジェンダーの問題に詳しい三浦まり・上智大教授(政治学)に聞いた。

 ――森氏の発言を聞いてどう感じましたか。

 明らかな性差別発言で、それに対して多くの人が抗議の声を上げて辞任に追い込んだという意味で、画期的な事件だったと思います。性差別に対してここまで様々な人が声を上げたことはなく、社会がまるで沸騰したようでした。海外の報道で121位が取り上げられているのは、ジェンダー平等における日本の後進性を象徴する数字であり、それを森氏の発言が裏付けたからです。さらには、意思決定の場に高齢の男性が多く、20年前から世代交代が起きていない。そうした日本社会の縮図でもありました。社会の意識はすでに変化しつつあるので、意思決定層がそこから遊離していることを、多くの人が認識した「事件」だったと思います。

先進国で最下位、中国よりも…

 ――海外メディアでも頻繁に取り上げられているジェンダーギャップランキングとはどんなものですか。

 スイス・ジュネーブに本拠を置く非営利財団「世界経済フォーラム(WEF)」が、政治、経済、教育、健康の4分野について、男女の間にどれくらいの格差があるのかを数値化して毎年発表してきたものです。WEFはいわゆる「ダボス会議」で知られる財団ですね。国連開発計画(UNDP)の「ジェンダー不平等指数」など、世界には他にも様々なランキングがありますが、その中でも、女性が意思決定にどれくらい参画しているかが反映されやすい特徴があります。

 2019年12月に公表された最新版で、121位の日本は先進国で最下位でした。他の主要7カ国首脳会議(G7)諸国は、ドイツ10位、フランス15位、カナダ19位、英国21位、米国53位、イタリア76位です。人権面でたびたび問題が指摘される中国でも106位、ロシアも81位で、日本はそれよりも低いのです。実は日本は常に先進国で最下位でしたが、121という極めて不名誉な数字が出たことから、このままではいけないという意識が国内でも強まってきているように思います。

 ――なぜそんなに低いのでしょうか。

 女性の国会議員や閣僚が少なく、これまで女性の首相もいない。企業でも女性の経営者や管理職は多くありません。意思決定の場に女性が少ないというのが日本の弱点であり、121位という結果は、それが色濃く反映されているためです。多くの海外メディアがこれを引用したのは、日本の弱点が分かりやすく表れているからではないかと思います。総合順位は121位ですが、分野別にみると、政治が144位、経済が115位、教育が91位、健康が40位となっています。

 ――世界で日本はどう位置づけられているのでしょう。

 世界的には、日本はもはや「問…

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