もう動揺はしない 「プリンシパル」吉田都の第2の人生

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岩本美帆
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 英国ロイヤルバレエ団の最高位ダンサー「プリンシパル」として活躍し、昨年9月から日本の新国立劇場で舞踊芸術監督を務める吉田都さん(55)が、その手腕で評判を呼んでいます。コロナ禍で公演中止を余儀なくされるなか、素早い判断で無料配信を決めるなどリーダーシップを発揮しているからです。正確無比なテクニック、可憐(かれん)な容姿と叙情性でかつて「ロイヤルの至宝」と呼ばれた名バレリーナに、第2のキャリアについて聞きました。

拡大する写真・図版現役時代と変わらぬほっそりとしたたたずまいで、新国立劇場オペラパレスのロビーに立つ吉田都さん。「ダンサーが休めるスペースが少ないので、もっとつくりたい」。常にダンサーと、彼らを支える観客のことを考えている=東京都渋谷区、北村玲奈撮影

 ――新国立劇場の舞踊芸術監督に就任して間もなく半年です。バレエやダンスの演目を決め、公演の方向性を決める最高責任者ですね。コロナ禍でのかじ取りを振り返って。

 あまりにも色々なことが起こりすぎて、無我夢中で走ってきたという感じです。秋のオープニング公演「白鳥の湖」から変更を強いられるとは思いませんでした。でもダンサー、スタッフみんなの気持ちが一つになって、それに背中を押されてきました。

 特に「白鳥の湖」に代わって上演することになった「ドン・キホーテ」は、みんなエネルギーが爆発していましたね。舞台に立てる喜びにあふれていた。それはお客様も同じです。初日に私は客席に座っていたのですが、周りからお客様のエネルギーを感じて圧倒されました。「ブラボー」を言えないので静かですが、拍手が鳴りやまず、温かい空気が流れていた。

 現役時代から、舞台に立つと一瞬でお客様の雰囲気がわかりました。今日は集中しているなとか、緊張感があるなとか。ロンドン公演初日に批評家が集まったときの、恐ろしい空気のときもありました。今回はとてもサポーティブな(支えとなる)気持ちを受け取りました。

PCRで陽性者が出た

 ――今年1月の「ニューイヤー・バレエ」はPCR検査で陽性者が判明し、公演中止に。ですがほかの関係者全員が陰性、かつ濃厚接触者がいないことがわかるやいなや、素早い判断で無観客ライブ配信を決断しました。おかげで同時視聴者は2万8千人を超えましたね。迅速な判断で辣腕(らつわん)ぶりを発揮しています。

 キャンセルが決まったとき、年末年始に練習をがんばっていたダンサーたちの姿が浮かんで頭が真っ白になりました。

 一回限りでもいいから絶対公…

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