ワクチン接種に焦る都内 「国は出たとこ勝負過ぎる」

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 新型コロナウイルスのワクチンの接種が日本でも始まった。4月以降には高齢者への接種も予定されている。接種方式は。医師、看護師らの確保は。「前代未聞」の事業の実務を担う東京都内の自治体は、準備に追われている。

 まず直面するのが、公共施設などでの「集団接種」と、診療所での「個別接種」の使い分けだ。

 国内で初承認された米ファイザー社のワクチンは零下75度前後の超低温で保存し、解凍後は5日以内に使い切る必要がある。どこで保管し、いつどこに運んでどれだけ解凍して接種するのか。その実務は自治体が担う。

 1箱195本入りのワクチンは当初、小分けにして使えないとされ、自治体では一度に多くの接種をこなせる集団接種を軸に計画を練っていた。だが、厚生労働省は1月末、個別接種を中心に集団接種も組み合わせる「練馬区モデル」を先行事例として紹介。「小分けにしてはいけないという説明だったのに…」(世田谷区の担当者)など、困惑は広がったが、結局は多くが「集団」「個別」を組み合わせた態勢の準備を急ぐ。

 ただ、どちらに重きを置くかで判断は割れる。

 世田谷区は集団接種の態勢整備を前提に、個別についても検討を開始。八王子市は、まず4月に小中学校の体育館で集団接種を始め、個別は遅れて5月以降とするという。

 港区は「原則集団」とする。担当者は「温度管理や配送が難しいワクチンをロスなく使うには、集団の方が効率的」と話す。ビル内にあって待合室が狭い診療所が多いなど、都心ならではの特性も考慮した。「小分けにしてもさばききれず、医師会によると、手を挙げる診療所も少ない」という。ただ、介護施設の入居者、自宅や通所型の介護を受けていて会場に行けない人のために、巡回チームによる接種も予定している。

 「集団」も併用するが、「個別」優先を掲げるのが板橋区だ。区民に身近で持病も把握しているかかりつけ医での接種が望ましいとの考えで、高齢者の7割に個別で受けてもらう計画だ。区内の医療機関や区立施設に設置する冷凍庫から、区内約200の病院、診療所に配送できる輸送態勢づくりを急ぐ。

 中央区も診療所が多い地域事情を考慮し、かかりつけ医での接種を基本とする。一方、かかりつけ医のいない住民向けに、平日は区内の聖路加国際病院で集団接種も実施する。

 独自の取り組みをする区市もある。豊島区は集団と個別に加え、26カ所の「区民ひろば」での巡回接種も組み合わせた「豊島区方式」を打ち出した。地域密着型コミュニティー施設である「ひろば」を使い、心理的ハードルを下げる狙いという。都心部への通勤者も多い立川市は、個別を基本とし、平日昼間の接種が難しい勤労者向けに公共施設や立川駅近くでの集団接種を検討。一部では巡回接種もする計画だ。

 北区は、集団接種を区施設などではなく、大~中規模の病院で行う。診療所での個別接種も含め、全て医療機関で実施する。同区保健所の前田秀雄所長は「副反応への懸念を少しでも和らげたい」と説明する。

 ただ、未確定な情報も多く、自治体も悩みながら走らざるをえない。

 新宿区はファイザー社製は集団接種とし、管理が容易なワクチンが承認されれば個別で使うことを検討するが、いつ、何が、どれだけ使えるかは不透明だ。吉住健一区長は「万全の態勢を敷きたいが、図面を書きづらい状況だ」と嘆く。

     ◇

器具品薄、自治体で奪い合い

 ほかにも実務上の課題は山積みだ。

 「(国が負担する)1人あたり2070円じゃ到底できないよ」。

 2日にあった都知事と特別区…

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