栃木の路線バスに「前乗り」横断幕 来月にはなくなる?

中野渉
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 宇都宮市など栃木県央を中心に走る路線バスの前面に、「まえ乗り」「うしろ乗り」という横断幕が掲げられるようになった。この地域では、前のドアから乗り降りする方式が続いていたが、そもそもなぜだったのか。あらためて背景を探ってみた。

 宇都宮市や周辺地域の路線バスは最近まで、基本的に前のドアだけで乗り降りする方式だった。その場合、乗る人はまず、降りる人がいなくなるまで、外で待たなくてはならない。

 運行している関東自動車とジェイアールバス関東は市の支援を受けて、3月21日から交通系ICカード「totra」(トトラ)を発売する。「Suica」や「PASMO」など、全国主要10種類の交通系ICカードも使えるようになる。市が事業を進めている次世代型路面電車システム(LRT)でも、これらのカードが使える予定だ。

 これを見据えて、両社は1月5日から、バスの機器の交換を始めている。ICカードはまだ使えないが、整理券器は後部に移るため、車両ごとに順次、後ろのドアから乗る方式に変えている。この変更で、乗降時間の短縮が見込める。

 関東自動車の福島崇文・路線バス部長は「これまでは乗り降りの効率が良くなく、お客様にご不便をおかけした。これからは便利になる」と話す。昭和期には、ドアが後輪よりもさらに後ろにある車両が多く、ドアの幅が狭かったため、利便性や安全性を考慮して前乗り・前降り方式になったのではないかという。「今となっては全国でも珍しい乗降方式です」

 ICカードが導入されれば、乗る際に整理券を取るか、ICカードでタッチする。降りる時は、これまで通り前のドアからで、現金かICカードで支払う方式になる。

 同社の約330台の路線バスのうち、すでに6割ほどの変更が済んだ。当面は、設備変更を終えた「後ろ乗り」と、従来の「前乗り」が混在するため、昨年末からバスに横断幕を付けて知らせるようにした。3月初旬には、すべてのバスを後ろ乗りにする予定という。中野渉