五輪の歴史は差別撤廃の歩み 女性参加が認められるまで

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聞き手・清宮涼
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 東京五輪パラリンピック大会組織委員会の会長だった森喜朗氏(83)が、女性蔑視発言で辞任に追い込まれた。国内外から批判が高まったのは、五輪憲章が根本原則で掲げる「ジェンダーの平等」を、組織委トップが自ら軽んじたためだ。一方で、近代五輪の歴史を振り返ると、五輪では当初、女性の参加が認められておらず、時代とともに少しずつジェンダーの平等に向けて進んできた経緯がある。女性が参加できるようになるまでに、どんな道のりがあったのか。今回の森氏の発言をどう考えるべきか。日本スポーツとジェンダー学会会長で、五輪史を専門とする中京大スポーツ科学部の來田(らいた)享子教授に聞いた。

 ――森氏の辞任に発展した今回の騒動をどう見ましたか。

 森氏の発言後、国際オリンピック委員会(IOC)が「森氏が謝罪している。この問題は終わった」とコメントしたことは、五輪史上に残る汚点だと思います。IOCのバッハ会長は、「(性別による差別を禁じる)五輪憲章に違反している。五輪ムーブメントの価値を損ねないでほしい」とはっきり言うべきでした。

 ――森氏の辞任後は後任選びに関心が集まり、政界からは「次は女性にすべきだ」との声も出ました。

 問題が起きたから(次の会長を)女性にしておけばいいんじゃないかとか、女性を選んだほうが問題に対してしっかり対応しているように見えるんじゃないかとか、そんな小手先のことが問われているわけではありません。トップを代えるだけでは何も変わりません。

 ――日本スポーツとジェンダー学会は、森氏の発言について「謝罪、撤回をすることで許されるものではない」「組織委員会が性差別的認識や男女不平等をどのように改善していくのか、明確な方針と具体策の提示が不可欠」とする緊急声明を出しました。どのような考えからですか。

 日本オリンピック委員会(JOC)のほか、五輪に参加する全ての組織は、今回の問題を受けて、各団体のジェンダー平等がどうなっているのかについて現状を示すべきです。それぞれが、努力してきたこともあるし、足りないところもあると言えばいいのです。日本車いすバスケットボール連盟が「ジェンダー平等の推進・強化に関する緊急声明」を出したのはすばらしい対応でした。試合に負けたら、なぜ負けたのかを分析しないと強くならない。組織体においてもそうした対応が必要です。

 ――森氏の発言の問題はどこにあるのでしょうか。

 客観的なデータもなく十把一…

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