新しい形?「テレワーク転勤」 夫婦一緒に生活しながら

根本晃
[PR]

 配偶者が転勤になった。ついていくためには、仕事をやめようか――。そんな悩みに、奈良市の建設会社「楓(かえで)工務店」が一つの答えを出した。名付けて「テレワーク転勤」。夫や妻が転勤した場合、現地で一緒に生活し、テレワークを認める。すでに女性2人が実践している。

 楓工務店でインテリア設計部門の主任を務める出原祐子さん(29)は2014年に入社し、奈良市内に住んでいた。18年、結婚と同時期に、別の企業に勤める夫が富山市に転勤することが決まった。楓工務店の田尻忠義代表(51)に相談し、田尻代表と出原さんの2人で「テレワーク転勤」という方法を考えついた。

 出原さんは現在は富山市内の自宅でテレワークを中心に働き、1~2カ月に1回、奈良市の本店に出向いている。仕事内容は富山に来る前と変わらず、建築図面のチェックが主な担当だ。

 「夫の転勤で妻が仕事をやめるのがなんとなく当たり前と思っていたが、やりがいのある仕事を続けられてよかった」と出原さん。今後、出産や育児を迎えても、テレワークなどを利用して、いまの仕事を継続していきたいという。

 楓工務店は07年設立。約80人の社員を率いる田尻代表は「育ってくれた社員が転職するのは本人にとってもキャリアのロス(損失)だし、会社にとっても貴重な人材の流出につながる」と話す。

 19年には営業部の女性社員(29)も、夫の転勤に伴って京都府内でテレワークを始めた。田尻さんは「環境の変化に対応することが、仕事の成長にもつながると思う。どんな社員でも、続ける意思があるならその機会を提供したい」と言う。

 奈良県の20~64歳の女性就業率は62・8%(15年)で、全国最下位(全国平均69・2%)と低迷している。県女性活躍推進課の西橋奈穂課長は「家庭の事情などで一度キャリアが止まってしまっても、復職できる機会があるのが大事。企業には社員の柔軟な勤務体系やキャリアアップの支援に努めてほしい」と話す。(根本晃)

Think Gender

Think Gender

男女格差が153カ国中121位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[記事一覧へ]