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 ホンダは19日、八郷隆弘社長(61)の後任に三部敏宏専務取締役(59)が昇格する人事を発表した。4月1日付。八郷氏は代表権のない取締役に退き、6月開催予定の株主総会で退任する。トップ交代は6年ぶり。課題だった拡大路線の修正にめどが付いたと判断した。

 三部氏は1987年に入社し、自動車のパワートレイン(駆動装置)を専門に手がけてきた。2019年4月に子会社の本田技術研究所の社長に就き、研究開発部門のトップになった。歴代社長も務めてきた立場で、次期社長候補の筆頭と言われてきた。

 ホンダは前社長の伊東孝紳氏が「世界販売600万台」を掲げて拡大路線を進めたが、販売が伸びずに低迷した。

 八郷氏は15年の社長就任後、方針を転換して埼玉県の狭山工場や英国工場など効率の悪い生産拠点の閉鎖・集約に取り組んだ。コスト削減や次世代技術への対応に向け、米ゼネラル・モーターズ(GM)との提携強化や「ホンダのDNA」とされる自動車レースのフォーミュラ・ワン世界選手権(F1)からの完全撤退も決断した。

 20年度は新型コロナ禍による生産停止や需要減で、4~6月期の決算では最終的なもうけを示す純損益が初の赤字になった。だがコスト削減や中国販売の復調で急回復。自動車大手7社で唯一、21年3月期の通期業績で純損益が前年を上回る予想を出している。

 ただ、四輪事業の収益力の回復や脱炭素化への対応など課題は山積している。自動車業界は「100年に1度」とも言われる変革期にあり、三部氏は難しいかじ取りを迫られそうだ。(稲垣千駿)