拡大する写真・図版海外の現地ガイドとオンラインでつなぎ、クイズを楽しむ学童保育の子どもたち=2021年1月5日、大阪府東大阪市、阪田隼人撮影

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 ひとり親や共働きの保護者が子どもを預ける学童保育(放課後児童クラブ)。小学校が一斉休校になった昨春も国は原則開所を求め、重要性が改めて注目された。その運営の担い手が、各地で変わりつつある。(阪田隼人)

 冬休みの1月5日昼すぎ。小学校の校庭脇にある学童保育の専用教室で、児童35人が動物の映像に歓声を上げていた。

 オーストラリアの日本人ガイドとリアルタイムでつないだ「リモート旅行」。あいさつの紹介やクイズがあり、児童の質問にも答えた。

 大阪府東大阪市の市立玉美小学校では、市が学童の運営を企業に委託する。3年前からは、かつてカラオケ事業で知られたシダックスの子会社が受託。担当者は「コロナ禍で旅行の機会が減った児童が、海外や英語に興味を持つきっかけになれば、と始めた」と話す。

 同社はここ数年、学童の受託数を急速に伸ばす。昨年10月時点で、全国102自治体の1054クラスを運営。一部地域での独自の取り組みとして、夏休みなどにランチを食べながら食材の歴史を学ぶ「食育弁当」も、保護者に好評という。

 学童の運営主体は、地域によって様々だ。自治体が直接、指導員を雇う「公営」をはじめ、保護者ら住民の組織が担うところもある。最近は、それらを企業などの法人に切り替えるケースが目立つ。全国学童保育連絡協議会の昨年の調査では、企業運営は全体の10・5%(3531クラス)を占め、2015年の2・8%(767クラス)から増えた。一方、公営は37・1%(9471クラス)から29・7%(1万6クラス)に減っている。

 背景には、共働き世帯の増加によるニーズの高まりがある。厚生労働省によると、利用児童は年々増え、昨年7月時点で過去最多の約131万人。待機児童は1万5995人にのぼる。自治体の担当者は、指導員の確保や運営自体が難しくなっていると説明する。

 公営だった神奈川県小田原市は昨年10月、保育時間の延長やサービス向上を目的に、企業への委託を始めた。市の担当者は「保護者から要望が多かった時間延長を実現するためには、指導員の増員が必要。だが、市で募っても集まらない」と言う。

 委託によって指導員は少し増え、入退室時に保護者に通知メールが届くシステムも導入。利用料は委託前と変わらず月7千円。委託費は3年間で約9億6500万円で、公営時の事業費(2019年度決算は約2億1500万円)より人件費などで増えたという。

 宇都宮市では、保護者や自治会役員らの地域運営委員会が運営してきた。来年度からは、市が複数の企業や社会福祉法人の指定管理者に任せる。「(運営委が)実質無償でやっていた事務作業の負担が大きい」のが理由だ。場所ごとに月の利用料が約5千~約1万円とばらつきがあったが、7600円に統一する。市からの委託費は2019年度に約5億4千万円だったが、事務に新たな人員を配置するなどして来年度は約6億7千万円に増えるという。

再び公営に

 法人に委託したものの、公営に戻したところもある。大阪府吹田市はその一つだ。

 「成長期の大切な1年が奪われた」。長男を預けていた母親は当時を振り返り、涙をぬぐった。

 全ての学童保育が公営だった市…

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