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 「日本一早いハウス桃宴(ももえん)」と銘打ち、30年にわたり春の訪れを告げてきた山梨県笛吹市石和町の富士見地区(旧東八代郡富士見村)の名物行事が、今春は実施されないことになった。コロナ禍のもとで人出が見込めず、桃の木も寿命を迎えたためだという。

 1990年に河野(こうの)幸雄さん(71)ら農家十数軒が始めた。2月中旬~3月上旬、見ごろのハウスが順次公開されてきた。

 毎年、一番に公開されるのが河野さんのハウス。年明けから重油ストーブをたき、夜の最低温度を12度に保つと桃は2月上旬に咲き始めた。「外は雪なのにハウス内は春らんまん」と季節の先取り感が受け、首都圏から約6千人が訪れた年もあったという。

 大型観光バスの団体客のほか、秋田県から訪れた女性もいた。3年前には中国の駐日大使だった程永華夫妻もやって来た。テレビの天気予報で全国に生中継されたこともあり、「ファンに愛され、今も親戚付き合いしている人がいます」と河野さんは打ち明ける。

 昨年は、新型コロナの感染拡大で人出が千人ほどに激減。昨年10月、河野さんら4軒が話し合い、中止を決めた。

 行楽客に根元を踏まれて桃が傷み、寿命を迎えたことも中止の理由だ。「露地より2カ月早い大型連休中に収穫できる桃は高い値段で売れた。最近は重油代約100万円の負担がきつかった」と河野さん。年末、花見会場の桃24本をすべて伐採した。再開のめどはたっていない。(河合博司)

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