U20三段跳び日本記録の高専生、パリ五輪目指す 三重

岡田真実
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 16メートル35。男子三段跳びの20歳未満(U20)日本記録保持者は、三重県名張市の近大高専5年生、伊藤陸選手(20)だ。三段跳びだけでなく、走り幅跳びでも好成績を収める。「自分がどこまで跳べるのかを知りたい」と向上心を燃やし、電子工学の研究と両立しながら2024年のパリ五輪出場を目指す。

 菰野町出身。走り幅跳びの選手だった父の影響で小学2年生から地元の陸上クラブに通った。100メートルや長距離にも挑戦したが、次第に走り幅跳びが専門になった。中学卒業後、陸上部顧問の勧めで5年制の近大高専に進学した。

 本格的に三段跳びに挑戦したのは、高専に入ってから。1年時の夏合宿で、コーチから突然「三段跳びの練習をしてみないか」と声をかけられた。三段跳びは中学時に結果を残せず、苦手意識を持っていた。「幅跳びだけをしたい」と思いつつ、三段跳びの練習もするようになった。転機となったのは、この年の9月の県新人戦。三段跳びで中学までの自己ベストを1メートル以上更新し、3位に入賞した。「2種目ともいけるかもしれない」と手応えを感じた。

 確信に変わったのは、大学1年生にあたる高専4年生の秋。日本インカレ(日本学生陸上競技対校選手権大会)の三段跳びで、U20日本記録となる16メートル34をマークして優勝した。42年ぶりのU20日本記録更新という快挙だった。幅跳びでも4位に入賞し、「世界で戦う選手の背中が見えた大会だった」と振り返る。

 187センチの長身をいかしたダイナミックな跳躍が持ち味で、昨秋の日本インカレ三段跳びでは自身の記録を16メートル35に伸ばし、連覇を果たした。幅跳びも順位を一つ上げて3位になった。

 現在は高専の最終学年で、卒業研究は「陸上競技」をテーマにした。5年間で学んだプログラミングやCGなどを生かし、自身が三段跳びをしている姿を動画で撮り、画像を処理しておおよその重心の位置を割り出す。重心の位置が高いほど良い記録が出ることがわかったという。

 今春の卒業後は同校の専攻科に進学する。専攻科の2年間でさらに高度な電子工学の知識を学ぶつもりだ。また陸上選手として、「パリ五輪などの大きい大会で結果を出すのはもちろん、自分がどこまで跳べるのかが一番気になる。自分の限界を知りたいです」と力強く話す。

 伊藤選手は、若手アスリートの活動資金をクラウドファンディング(CF)で募る「地元アスリート応援プログラム」(明治安田生命主催)に参加している。集まったお金は世界大会に出場するための遠征費や合宿費に充てる予定で、朝日新聞社のクラウドファンディングサイト「A―port」(https://a-port.asahi.com/partners/jimotoathlete/別ウインドウで開きます)で28日まで受け付ける。(岡田真実)

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