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 奈良県は19日、前年度比242億円(4・3%)減となる総額5366億円の2021年度一般会計当初予算案を発表した。2月補正予算案には562億円を計上し、そのほとんどは21年度中に執行される。当初予算案と2月補正予算案を合算した一般会計予算規模額だと5928億円となり、過去10年で最大となった。

 コロナ禍で税収が落ち込む一方、新型コロナウイルス対策関連の経費のほか、防災や施設整備にあてる投資的経費がかさみ、国からの支出や借金に多くを依存する形になった。

 歳入は、新型コロナの感染拡大による経済の落ち込みが影響した。歳入の2割を占める県税は2・5%減の1183億円。国が徴収した税を地方に振り分ける地方譲与税は34・9%減の164億円を見込む。

 歳入不足を補うため、「借金」にあたる県債は23・6%増の783億円を発行する。うち335億円は、国が本来交付すべき財源を補うために発行する臨時財政対策債。減少傾向だった県債残高は21年度末に微増して9914億円となる見込みで、県民1人あたり約73万円の借金を背負うことになる。貯金にあたる財政調整基金からは30億円を切り崩す。

 歳出では、コロナ禍でも施設整備を着実に進めるための経費を計上した。京奈和自動車道などの道路整備や道路施設の老朽化対策に306億円、遊水池の設置や河道を広げるなどの洪水被害対策に99億円、五條市に建設を予定する大規模広域防災拠点の整備費4億円など、「日本一災害に強い奈良県を目指す対策」に計416億円をかける。

 観光やまちづくり事業では、平城宮跡歴史公園の整備に13億円を計上。東側に正倉院正倉を模した建物などでつくる「歴史体験学習館」、南側に都市公園を整備する。文化財の修復作業現場の通年公開などを予定する「なら歴史芸術文化村」(天理市)には、22年3月予定の開村に向けて10億円を追加。奈良市八条・大安寺周辺地区に設置を予定するJR新駅の高架工事などに14億円を計上した。県民限定で県内の宿泊施設の利用料金が割引になる「いまなら。キャンペーン」は21年7月からの実施を想定し、5億円を盛り込む。

 また、新型コロナの影響を受ける中小企業などの資金繰りを支援する県制度融資で、今年度4600億円の融資枠を使い切った場合、県は今後10年間で最大431億円(うち県の純粋な負担は336億円)の利子・保証料を補助する必要が出ると予想している。今回はその補助費用として国の財源措置も利用した116億円を盛り込み、総額を押し上げた。負担がかさむ一方で、21年度は新たな資金で1000億円の融資枠を設けた。

 このほか、奈良市の円成寺春日堂・白山堂(国宝)と本堂(重要文化財)では、来年度から屋根のふき替えに着手する。予算案に修理費を補助金として盛り込んだ。

 荒井正吾知事は「国の交付金でやり繰りしているのが実情。親のすねをかじっている状態だが、自立するためには投資が必要。町の整備や工場誘致などを通して自主財源を増やせるようにしたい」と話した。

     ◇

 奈良県は19日、総額562億円の今年度2月一般会計補正予算案を発表した。2021年度当初予算案とともに、25日開会の県議会2月定例会に提出する。

 過去10年で最も大きい補正予算案となった。同期間で2番目に大きい20年度6月補正とは197億円の差がある。補正予算案を大きくしたのは、371億円にのぼる新型コロナウイルス対策だ。国の補正予算を積極的に活用するため2月補正予算案に多額の費用を盛り込み、そのほとんどは21年度中に執行される。

 コロナ患者の病床や宿泊療養施設の確保に277億円を計上。新たに市町村のワクチン接種体制整備の支援費用として7200万円、東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンにおける感染対策のための基金積み立てに9700万円などを盛り込んだ。

 2月定例会の会期は3月24日まで。3月3~5日に代表質問、5、8、9日に一般質問がある。(平田瑛美)

主な新規事業

◇奈良まほろば館移転(8億4900万円)=東京・新橋に移転するアンテナショップ「奈良まほろば館」とレストラン兼ショップ「ときのもり」の21年7月オープンに向けて、大型ビジョンの設置や内外装工事などを実施。県のブランド力向上をめざす

◇「飛鳥・藤原」の魅力の発信(2200万円)=24年の世界遺産登録をめざす「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の構成資産のうち、地下遺構や元々あった建物などをバーチャルリアリティー(VR)などの先端技術を使って発信する方法を検討する

◇潜在保育士の就職促進(360万円)=県に保育士登録している保育士に就職意向を確認し、「県保育人材バンク」への登録案内や再就職支援の研修、求人情報を提供する

◇障害者のテレワーク促進(350万円)=民間企業2社で障害者のテレワークに取り組む。テレワークに必要な研修や就労状況をモニタリングして課題を分析する

歳入・歳出の用語

(円グラフ参照)

県税 個人県民税が4割を占め、地方消費税や法人事業税が続く

地方交付税 自治体間の行政サービスに差が出ないよう、国が集める所得税や法人税の一部を、自治体の財政力に応じて配る。自治体の裁量で自由に使える

国庫支出金 国が使い道を特定し、自治体の防災対策など公共事業に補助金として支給する

扶助費 生活保護費や児童手当など

投資的経費 道路や公共施設の建設などインフラ整備にかかる費用。防災・減災対策や大規模広域防災拠点の整備事業などが含まれる

補助費など 介護や障害者自立支援など社会保障関係費、県内市町村への県税交付金などに使われる

物件費 PCR検査結果を待つ自宅待機者の家族を受け入れる施設の確保など

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