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 森林が荒れるのを防ぎ、山の保水機能を保つために大分県中津市は今年度から、所有者の委託を受けて木の手入れや見回りを始めた。「森林経営管理制度」と呼ばれる仕組みで、県内の自治体では初めての試み。地球温暖化防止という狙いもある。

 「密集した木を間伐することで森に光を入れ、樹木や下草の生育を促します」。中津市山国町藤野木にある樹齢約30年のヒノキ林で、市林業水産課係長の安東靖司さんが説明してくれた。

 約0・25ヘクタールの林は、以前は手入れされていたが、相続後に放置状態になっていた。ヒノキが密集した場所では、作業を請け負う山国川流域森林組合の作業員がチェーンソーで育ちの悪い木や曲がった木を次々と切り倒していった。

 この制度は2019年、私有林の荒廃対策として国が始めた。所有者が高齢や遠隔地に住んでいるために手入れできない林を、自治体が5年間の期限つきで委託を受ける。この間に、商品になる木が生えている林はほかの林業経営者に再委託。一方、林業経営に適さない林は市が定期的に見回りや間伐を続ける。

 中津市は昨年6月から始め、いまは11人から計24ヘクタールの委託を受けている。経費は19年に管理制度と同時にできた森林環境譲与税を充て、今年度は500万円を計上している。県内では豊後大野市も昨年秋から始めた。

 適正に管理され、保水力のある森林は、大雨が降ったときに「緑のダム」として川に大量の水が流れ込むのを遅らせる。荒れた森林から流出した倒木は、橋や堤防などを破損する恐れもある。2012年に山国川の氾濫で大きな被害を受けた中津市にとって防災面の役割は大きい。市内にはスギやヒノキの人工林が約1万8800ヘクタールある。市によると、このうち半分近くが管理の行き届かない林とみられる。

 課題もある。地権者の確認が難しいうえ、交渉に当たる職員は3人しかおらず、ほかの仕事も兼務しているため負担は重い。また、市内の山林の中には境界を決める調査がされていない場所も多い。

 安東さんは「課題もあるが、災害時の被害を減らすためにも管理する森林を増やしていきたい」と話している。(大畠正吾)

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