「防潮堤は全て壊れる」津波の新想定、被災地住民に衝撃

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藤谷和広、大久保泰 渡辺洋介
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 東日本大震災の被災地で造られた防潮堤が、住民に新たな戸惑いを生みだしている。命を守ってくれるという安心感は、時に避難への意識を薄れさせることにもつながる。国が昨年公表した新たな津波想定を通じて、見えてきたものとは。

 自宅周辺が、浸水を意味するピンク色に染まっていた。東日本大震災の津波で500人余りが犠牲になった岩手県宮古市。海から約500メートルの災害公営住宅「赤前災害住宅」で妻と暮らす佐々木亨さん(65)は1月下旬、新しいハザードマップを見て驚いた。

 「えっ、まさか。今さら言われても」

 佐々木さんを不安にさせたのは、内閣府の有識者検討会が昨年公表した巨大地震の津波想定だ。日本海溝が震源で、千年に1度の最大級の津波を想定するため、宮古市には最大29・7メートルの津波が押し寄せる。一方、震災後に宮古市で整備された防潮堤が対応できるのは、数十年から百数十年に1度の津波までだ。そこに千年に1度の津波が来て防潮堤を越えると、防潮堤が壊れる。こうした条件で計算したため、地区の浸水面積は震災時の2倍近くに広がった。津波が来なかった場所に建てられた赤前災害住宅も浸水域に入ることになった。

「想定は超えるもの」

 佐々木さんは震災で約10メ…

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