企画が人気の図書館 仕掛け人の木本千代子さん

斉藤智子
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 徳島県南部、太平洋に面した人口約3900人の牟岐(むぎ)町の町立図書館は町民はもちろん、町外のファンも足しげく訪れるホットスポットだ。多彩な体験教室に、キラリと光る作品を紹介する月替わりの「図書館ギャラリー」も。おすすめの本の名前がカプセルに入って出てくる手作りの「bookガチャ」は子どもたちに人気だ。様々な企画の仕掛け人、司書専門員の木本千代子さん(62)に話を聞いた。

 ――座禅や顔ヨガ、ハーブ、SDGs教室、大人の朗読会など魅力的な企画がいっぱいです

 アニメやライトノベルのキャラのコスプレを館内で楽しむイベントは、開催のたびに盛り上がります。コロナ禍の前と同じようにはできませんが、いろんなワークショップを月2、3回、感染予防対策を取って開いています。図書館主催の「むぎとしょマルシェ」は昨年2月からお休み中ですが、手作り雑貨や地元農産物の出店者が多い時は約40店舗集まる人気企画です。隣にある「海の総合文化センター」のロビーが会場です。

 昨秋の図書館ギャラリー「コロナに負けるな! 手作りマスク展」は作品を広く募集し、町内外から藍染めやレースの作品が集まりました。今年度はしおりアート展や、泥染め作品展も開いています。

 司書になった2008年に図書館ギャラリーを始めたのがスタートでした。町の誰もが来る場所、もっと楽しめる場所にしたい。そのために予算をかけずにできることを、町の人を巻き込んでやりたい。みんな隠れた才能あるやん、お披露目してもらおうと思いました。図書館の利用者や知り合った方と話をしていて趣味や得意なことを発見したら、「こんなの図書館でやってください」、と声をかけています。ハートをオープンにして、いつもアンテナを張っています。

 ――調理師からの転身です

 通信制の大学で司書の資格をとりました。一人息子が大学に進学し、寂しくて何かしなくちゃと思って。子どもの頃から本が好きだったんです。

 ――図書館では、乳児に本を贈る「ブックスタート」に続く取り組みとして、町の小学1年生に「セカンドブック」、中学1年生に「サードブック」の本を贈る事業もしています

 本屋さんがない町ですが、本に親しんでほしい。古紙回収の収益金で、小中学校、保育園に本の寄贈もしています。

 ――閲覧室の花がきれいです

 町の人々が花を飾ったり、古紙回収の作業に参加したり、図書館応援団になって支えてくださっています。みんなに守られて、ありがたいことです。

 図書館司書の仕事は、クリエーターでもあり、プロデューサーでもあると考えています。本の貸し出しだけでなく、人と情報をつなげ、地域から必要とされるためには、たくさんの柔軟な発想が必要です。旅先では必ず図書館を訪ねます。いいと思ったことはとりいれたいです。

 図書館のスタッフそれぞれに得意なことがあるので、それを生かして幸せパワーを来館者に伝えていきたい。コロナ禍でもみんなでわくわく出来る楽しいイベントやワークショップを企画していきたいです。(斉藤智子)

 きもと・ちよこ 1958年、徳島県牟岐町出身。町職員の調理師として勤務しながら、43歳で図書館司書の資格を取得。2008年に町立図書館の司書、15年に副館長に。19年3月の定年退職後、再任用され、司書専門員。茶道、華道の講師の資格を持つ。宮沢賢治が好き。