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 日本のエネルギーの問題点をあぶり出し、さまざまな改革のきっかけになった東京電力福島第一原発の事故からまもなく10年。この間、エネルギー政策は大きく揺れ動いてきたが、政権の内外から状況を見つめてきた元経産官僚の目にはどう映るのか。民主党政権時代の「原発ゼロ」政策の立案に携わり、いまは環境に配慮したバイオ化学品などを開発するベンチャー企業「グリーン・アース・インスティテュート」の代表取締役を務める伊原智人さん(52)に、話を聞いた。

 ――菅政権が「2050年に温室効果ガス排出を実質ゼロにする」目標を打ち出しました。それまでの政府の姿勢からすると、思い切った判断のように感じます。

 「あるべき姿だと思います。私は、政府の役割の一つは将来ビジョンを示すことだと思っています。積み上げでこうなります、という計画も重要ですが、政府が大きなビジョンを掲げ、そこに向けて民間投資を促すことの意味は、さらに重要です。私は11年に民主党政権の『国家戦略室』のスタッフになり、『30年代に原発ゼロ』を掲げた『革新的エネルギー・環境戦略』の立案にかかわりました。しかし結局、直後に政権交代が起きてしまい、成し遂げられませんでした。非常に残念でした」

 ――まずは大きな方向性を示すことが大事だと。

 「当時も再生可能エネルギーが本当に原発に置き換わるのかと批判されました。難しい目標を掲げるのは、責任のない野党がやることで、あなたのやっていることは社会運動的な話だと、言われたこともあります。でも目指すべきところを示すのが政府の役割だし、できないと思われたことをできるようにするのが本当の転換です。それくらい大きな変革がないと、問題は解決しません」

 ――しかし政府は、50年の「排出ゼロ」でも、原発を減らしつつも最大限活用するとしていますね。

 「50年に脱炭素を実現するのは、非常に野心的な目標です。達成のために再エネがこれしか入らないので、残りは原子力で、という引き算で解を求めるのは違います。再エネについても野心的な目標を掲げ、何をすべきか知恵を絞って施策を集中させるべきだからです」

 「原発は、さまざまな問題を抱…

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