米国のバイデン大統領が1月20日に就任してから、1カ月が過ぎた。トランプ政権からの転換を国内外にアピールする一方、厳しい対中姿勢や国内産業保護など、政策を引き継ぐ面もある。これまでは大統領令を中心に政策を推進してきたが、今後は議会との交渉も焦点になる。
「過去の4年間は困難なものだった。だが、欧州と米国は再び、自信を持って導く必要がある」
バイデン氏は19日、ミュンヘン安全保障会議にオンラインで参加し、「国際社会への米国の復帰」を訴えた。
バイデン政権はこの日、トランプ政権が離脱をした、地球温暖化対策のパリ協定に正式に復帰。18日には、やはりトランプ政権が離れた、イランとの核合意への復帰に向けた協議に参加する意向を表明するなど、前の政権からの転換を対外的に強く印象づけた。
一方、対中国の関係では、トランプ政権を引き継ぐ厳しい強硬姿勢が目立つ。バイデン氏は19日の演説でも、安全保障や経済のみならず、民主主義擁護の観点からも、「中国との競争は手ごわいものになるだろうが、望むところだ」と対抗意識をあらわにした。
もっとも、バイデン政権の当面の最優先課題は、新型コロナウイルス対策や経済再生、社会の分断の修復といった国内の立て直しだ。外交政策も「中間層のための外交」を掲げる。バイデン氏は4日に国務省で行った演説で「中間層のための外交を推進するためには、国内経済の再生に焦点をあてなければならない」と訴え、外交と経済産業政策を一体で進めることを示唆した。(ワシントン=大島隆)
経済再生、壮大な「実験」
バイデン氏にとって目下の最優先課題は、新型コロナで落ち込んだ経済の再生だ。16日、ウィスコンシン州で開いた市民対話集会では財政出動について「思い切り進める」と強調した。
1月中旬には、トランプ政権…
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