無料検診で大腸がん34人発見 未受診者の発見率3倍に

林義則
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 50代の男女約5万人を対象に青森県が実施した検診モデル事業で、3年間で計34人から大腸がんが見つかった。過去5年間に大腸がん検診を受けていた人に対し、受けていなかった人の発見率が約3倍に上ったという。青森県民の大腸がん死亡率は14年連続で全国ワースト1位。県はがん検診の受診がリスク軽減につながるとして、毎年の受診を呼びかけている。

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 国立がん研究センターがん情報サービスの統計によると、大腸がんによる2019年の10万人あたりの75歳未満年齢調整死亡率は、全国の9・8人に対し青森県は12・9人で、14年連続ワースト1位。大腸がんは早期に発見すれば100%近くが生存できる一方、県内では生活習慣の影響が出始める40代以上の働き盛り世代で、がん死亡率が全国と開き始める特徴がある。

 そこで県は、50代を対象に受診率の向上を図り、死亡率の減少につなげようと、無料で大腸がん検診を受診できる検診モデル事業に乗り出した。青森市弘前市の50代の男女約5万1500人を対象に、便に血液が混ざっていないかを調べる便潜血検査キットを送り、自宅で採取した検体を郵送のほか、自宅近くの薬局でも受け付けて手軽に受診できるようにした。希望者は内視鏡検査による検診も受けられるようにした。事業費は3年間で約1億8700万円。

 今年1月に開かれた運営会議で、2017~19年度の結果が報告された。キットによる便潜血検査を受けたのは8472人。その後の精密検査で34人にがんが見つかり、このうち26人が治療可能な早期がんだった。このほか、希望者向けに実施した内視鏡検査でも、2592人の受診者のうち24人ががんの疑いがあると判定された。

 がんが見つかった34人のうち過去5年間に大腸がん検診を受けていた人は5人で、受けていなかった人は29人。発見率でみると過去5年間に検診受診歴がある人の0・18%に対して受診歴がない人は0・52%と2・9倍で、県がん・生活習慣病対策課は「検診受診歴によるリスクの差が表れた」としている。

 一方、今回のモデル事業では便潜血検査で「要精検」(精密検査が必要)と判定された505人のうち、実際に精密検査を受けた人は74・3%の375人にとどまり、精密検査の受診率向上が課題となった。精密検査で早期がんが見つかった26人のうち18人は血便や腹痛の自覚症状がなかったといい、同課の野田千雪総括主幹は「症状がなくても必ず精密検査を受けてほしい」と注意を促す。

 県は今回のモデル事業と同様の方法で受診率向上に取り組む市町村に経費を補助する事業を今年度から展開しているほか、働き盛り世代の対策を強化するため、職場でのがん検診の実態調査にも乗り出した。同課は「大腸がん検診を毎年受け、要精検なら必ず精密検査を受ける。たった二つの行動でリスクが低下する」と呼びかけている。(林義則)