夫に続き息子まで…舞った石綿、救済求める妻の自問自答

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阿部峻介
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 建設現場で舞ったアスベスト(石綿)が、夫と息子を奪った――。消えることのない悔しさを抱える妻が25日、最高裁の法廷に立つ。国と建材メーカーの責任が問われる一連の訴訟の弁論で、原告の一人として抜本的救済を求める。

 埼玉県川越市の大坂春子さん(77)は毎日、朝と晩に二つの遺影に語りかける。「裁判が終わるまで、お迎えには来ないでね。見守っていてね」

 大工歴48年の夫金雄(かねお)さんが異変を訴えたのは、2002年9月だった。犬の散歩から帰ると、「今日はすごく疲れる」と玄関にへたり込んだ。病院でX線写真を撮ると、たまった水で肺が白く映っていた。応急処置をしたが、弱音を吐かない夫が「苦しい、苦しい」と漏らすようになった。

 ともに大工をしてきた春子さんと長男誠さんには、心当たりがあった。加入する労働組合が作った「静かな時限爆弾」というタイトルのDVD。建設資材に含まれる石綿の粉じんを吸うと肺に刺さり、数十年後、がんを発症させることを伝えていた。詳しい検査を受けさせることにした。

 「アスベストによる中皮腫です」。03年1月、医師が告げた検査結果は思った通りだった。ただ、「あと何カ月ももたない」と余命を知らされるとは思わなかった。「きちんと聞きたい」と同席していた夫は、顔をしかめた。

 入院中の夫は痛み止めシート…

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