[PR]

 新たな手口が次から次へと出てくるサイバー犯罪に対抗しようと、山梨県警が今年度から捜査員の育成プロジェクトを始めている。先月には県警として初めて技能競技会を開くなど、捜査力の向上を急いでいる。

 対策の中心を担うのが生活安全捜査課サイバー犯罪対策室長補佐の坂本太警部(56)。元システムエンジニアで、海外からサーバーが乗っ取られたといった話を聞くたびに「誰が、どういう方法でやるのか」と疑問がわいた。2003年、県警が「ハイテク捜査官」(当時)を募集していると知り、転職した。

 南甲府署に2年間勤務した後、生活安全部でサイバー犯罪の捜査や対策にあたってきた。情報セキュリティーの国際的な専門資格「CISSP」を県警でただ1人取得している。

 14年に全国の20都道府県警が「プロキシ(代理)」と呼ばれる中継サーバーの管理業者を一斉摘発した事件では、県警も違法に複製した基本ソフト(OS)を使い中継サーバーを設置したなどとして中国籍のサーバー運営者を逮捕した。

 海外からのサイバー攻撃は捜査に長い時間を要し、難航することもある。「新たな技術やサービスが出ると、新たな手口の犯罪も出てくる。地道に積み重ね、諦めない捜査が大事になる」と話す。

 サイバー犯罪担当の捜査員は増え、県警が20年度に始めた育成プログラムには15人が参加する。1月下旬には初めてサイバーセキュリティー競技会を開催し、36人が挑んだ。学校に爆破予告があったという想定で発信元を特定するなど計36問で競った。

 昨年、県警に寄せられたサイバー犯罪の相談は715件(前年比32件減)。摘発は36件(同9件減)で、新型コロナウイルス対策の持続化給付金をネット申請でだまし取る事件では男女7人を逮捕した。坂本警部は「できるだけ早くサイバー犯罪に強い体制をつくり、県警全体の捜査力を上げたい」と話す。(玉木祥子)

関連ニュース