野鳥オガヒワの絶滅防げ! 島民主体の繁殖環境づくり
米山正寛
世界自然遺産の小笠原諸島(東京都)にすむ野鳥のオガサワラカワラヒワが絶滅の危機に直面しており、島の人々と島外の専門家たちが協力して生息環境を改善しながら個体数を増やす活動が始まった。過去に長崎県のツシマヤマネコや沖縄県のヤンバルクイナなどでも使われた手法だ。
オガサワラカワラヒワは体長15センチ前後、体重18グラムほどの小鳥だ。環境省のレッドリストでは最も絶滅の危険が高い絶滅危惧ⅠA類で、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種にも指定されている。従来は本州などのカワラヒワと同じ種とされてきたが、それと比べてくちばしが長くて太い、遺伝的に見て106万年前ごろ分かれたらしい、などを根拠に、独立した種とみなす論文が昨年発表された。
小笠原の鳥を長年観察する森林総合研究所主任研究員の川上和人さん(47)によると、かつては多くの島々にいたが、現在は母島の周辺と南硫黄島に各100羽程度がくらすだけ。特に母島周辺では2000年代に入って急減し、2010年の推定200羽前後からここ10年で半減したとみられ、「絶滅を目前とした状況を迎えている」と危機感を募らせる。このまま対策が取られないと、さらに3年で半減し、15~20年後にはいなくなるという予測もある。
対策を検討するために採用さ…