ミャンマー国軍、自業自得? 制裁広がれば利権に打撃も
ミャンマー国軍はなぜクーデターを起こしたのか。背景には、国軍系企業が経営の透明化を迫られるなか、利権を守る狙いもあったと指摘されている。一方で、米国はクーデターを受けて国軍系複合企業の傘下企業に制裁を科し、ミャンマーでは市民が製品の不買を呼びかけている。事態の推移によっては、自ら実行したクーデターが原因で大きな打撃を受けそうだ。
バイデン米政権は11日、クーデターを指揮したミンアウンフライン国軍最高司令官ら国軍幹部10人と、国軍と関係が深い3社を制裁対象に指定した。ロイター通信によると、3社は宝石を取り扱う会社で、国軍系複合企業「ミャンマー・エコノミック・ホールディングス・リミテッド(MEHL)」の傘下にある。
ミャンマーには「ミャンマー・エコノミック・コーポレーション(MEC)」という、もう一つの国軍系複合企業も存在する。MEHLやMECは傘下に銀行や通信、ホテル、製鉄など幅広い企業を持ち、国内経済に強い影響力がある。
ミャンマー現代史に詳しい根本敬・上智大教授によると、MEHLとMECはともに1950年に設立された国防協会が前身。協会は生活物資を売る小売店から始まり、60年代にかけて銀行や保険、海運会社も持つ一大組織に成長した。
国軍は90年にMEHL、97年にMECを創設。優良な国営企業を民営化して傘下に収め、外資と合弁を組むことで成長を続けた。残った国営企業は軍人らの天下り先とし、国軍は利権の維持と拡大に成功した。
MEHLとMECの実態はベールに包まれている。
両社とも国防省の管轄だが…