第25回受験もレシーブも力抜いて C判定→筑波大合格のリベロ
コロナ禍の中、入試にのぞむ受験生たちに贈る激励のメッセージ「受験する君へ」。バレーボール選手の山口拓海さんが贈る言葉です。
受験する君へ バレーボール選手・山口拓海さん
受験生にとって縁起のいいポジションを務めています。守備専門の「リベロ」です。ボールは「落ちない」「落とさない」――。バレーボールのルールでは、リベロはスパイクやサーブを打ってはいけないし、ブロックにも跳べません。得点は挙げられないけれど、どんな球にも食らいつく。床際に飛び込んで拾い上げます。
中3の夏、バレー部の練習で利き手の右小指を骨折してしまいました。親指と人さし指でペンを握り、勉強しました。塾でもらったペンに「believe yourself」と書いてありました。自分の力を信じ、机に向かいました。
あこがれていた群馬県立高崎高校に入学できましたが、勉強についていくのが大変でした。英語は毎日、教科書の見開きくらいの分量の日本語を英訳する宿題が出ました。世界史の宿題は、空欄だらけのプリントでした。辞書で調べ、資料を読み込み、書いていく。部活との両立は楽ではなかったけれど、毎日続けたことで力がつきました。
主将を務めたバレー部を引退したのは、3年の11月、大学入試センター試験(当時)の2カ月前でした。夏の全国高校総体の県予選で敗れ、引退するか、続けるか迷いました。全国大会を逃した悔しさが強かったので、冬の春高(全日本高校選手権)出場を目指し、練習を続けました。春高も予選で負けてしまいましたが、悔いはなかった。引退後、勉強に集中できました。
バレー部の強い筑波大を一般受験でめざしました。模試の結果は、ずっと合格確率50%のC判定。でも、「可能性はある。大丈夫」と気楽に考えました。
レシーブも同じです。悪いイメージを持ってしまうと、いいプレーはできません。構える前に、ミスをすることは考えない。体の力を抜いて、準備します。受験も、合格して喜ぶ姿を想像して、勉強する方がきっと頭に入ってきます。
菓子メーカー「東ハト」と協力して、SNSで応募してくれた受験生に、Vリーグの22チームのリベロから、合格祈願のお守りのカードを抽選でプレゼントしました。僕は「Do your best!!」と書きました。
レシーブと同じように、受験も準備が大事。そして、最後は気持ち。今まで積み重ねてきたことを信じてください。目の前のことを一生懸命やれば、大丈夫です。(聞き手・木村健一)
私の勝負飯
「母のおにぎり」
高校時代、母はいつも1合のご飯、6種類のおかずに加え、おにぎりを二つ作ってくれました。中身は日替わり。そぼろ肉、ショウガ焼き、トンカツ、鶏ゴボウ……。何が入っているのか、いつも楽しみでした。
◇
〈やまぐち・たくみ〉1997年生まれ、群馬県高崎市出身。小学1年でバレーボールを始め、中学時代に全国大会に出場。群馬県立高崎高校から、一般入試で合格した筑波大体育専門学群へ。昨春の卒業後、Vリーグの東レに入り、リベロとして活躍。
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