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 「想定外」の巨大地震と原発事故で科学への信頼が大きく揺らいだ東日本大震災から10年。科学と社会は関わりを結び直すことができるのか。現場で模索を重ねてきた、これからを担う世代の専門家に尋ねます。

 震災や原発事故では、科学だけでは決められないことや、科学的に白黒つけられないことをめぐって混乱や分断が生じた。科学コミュニケーションに取り組む「科学・政策と社会研究室」代表の榎木英介さんは、平時から社会と科学をつないでおくことが重要で、情報の受け手には「解がないこと」への耐性が求められると指摘します。

榎木英介さん 「科学・政策と社会研究室」代表

 科学と社会の関係は、いま構造の組み替え時期じゃないかなと感じています。選ばれた少数の科学者がやっている研究を「すごいね」と見ていた時代から、人々が当事者として科学に関わる時代になってきたのがこの10年。過渡期なので混乱も試行錯誤もある。

 科学は、かちっとした動かない知識体系ではなく、常に新しい知見が加わり更新されていく流動的なものです。震災以降、そういうことを人々が身近な問題としてより深く理解するようになってきたと思います。

 私は震災前から、科学と社会の間をつなぐ科学コミュニケーションに取り組んできました。ですが、震災では無力でした。無力すぎて、「科学コミュニケーター」と名乗るのをやめようとも思いました。

 たとえば、原発事故では放射線…

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