「絶対産む」がん患い福島で被災、妊婦を支え続けた言葉

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熊井洋美

拡大する写真・図版「お世話になった先生たちに感謝を伝えたい」。そんな願いを込め、娘と一緒にピンクのガーベラを手にする女性=女性提供

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 新鮮なジュースを飲もうと、オレンジを搾りはじめた瞬間、激しい横揺れが福島市の女性(42)を襲った。2011年3月11日午後2時46分。ジュースは床に飛び散り、冷蔵庫の扉が開き、笹(ささ)かまぼこが室内に飛んできた。ガスも水道も止まった。

 妊娠中のおなかをかばいながらアパートの外に出ると、近所の人も皆、外にいた。鳥が異様な声で鳴き一斉に飛び立った。

 前年の秋、初めての妊娠の幸せに浸ったのもつかの間、子宮頸(けい)がんの疑いを指摘された。クリニックの紹介状を手に12月、福島県立医大病院産婦人科を受診した。

 「わたし、この子を絶対に産みたいんです」。診察室に入るなり、目の前の藤森敬也(ふじもりけいや)教授(56)に訴えた。

 「お母さんの命が大事。赤ちゃんは諦めましょう」と言われたら、最初のクリニックに戻ろう。そう考えるほど思い詰めていた。

 藤森さんは一拍おいて言った。

 「わかりました。僕が面倒をみましょう」

 まず産みたい。その後は子宮…

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