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 新型コロナウイルスは大学の授業のあり方にも大きな変化をもたらした。対面で、オンラインで、よりよい学びの場づくりに向け、福井県内の大学でも模索が続く。(八百板一平、大西明梨)

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 「ここ、ちょっとマークをしておいて下さい」

 石川昭義教授がアクリル板越しに語りかけ、マスク姿の学生たちがうなずく。

 昨年12月中旬、越前市の仁愛大であった対面形式の授業。学生は石川教授の話を聴いた後、友達と意見交換しながら保育園などでの指導計画案をまとめる。

 仁愛大で授業が始まったのは、例年より約1カ月遅れの昨年5月11日。原則オンラインで石川教授も授業動画を作成、オンデマンド型の教材として配信した。

 同大は、感染防止策を盛り込んだ対面授業実施のガイドラインを策定。実習や資格取得に必要な授業などを対面で行い、感染状況などを踏まえ、対面授業の範囲を広げてきた。

 「教室で友達と会えるのはやっぱりうれしい」と3年の吉村明日香さん(21)と谷根美咲さん(21)。オンライン授業はいつでも学べるのがいいが、意見交換などの授業は対面式がいいと感じている。インターネットでの友達とのやりとりなどが増え、通信費などがかさむのが悩みという。

 石川教授は「コロナ禍の中で学生に何を伝えたいのかなど、自分のやり方を考え直すきっかけになった。対面授業をどのような学びの場にしていくかが問われると思う」と話す。

 福井大はオンデマンド型の遠隔授業システム「F・MOCE(エフ・モス)」を開発し、昨年5月から医学部の授業などに活用。昨秋からは希望学生に、海外で働く日本人医師の話を聴くセミナーを開いている。

 米国やドイツの大学病院などの医師4人が、現在の仕事や学生時代の過ごし方などを語った動画を作成。視聴した学生が医師らとオンラインで直接話す「質問会」も2回開いた。3年の大久保甲斐さん(31)は「海外で働く人の姿を具体的に知ることができた」。2年の三木静吏那(せりな)さん(22)は「将来進む道を考えるきっかけになった」。

 オンラインの授業作りに役立ててもらおうと、福井市の仁愛女子短大の澤崎敏文准教授が、「パワーポイント」で手軽に動画を作る方法などをまとめた著書「PowerPointでかんたん! 動画作成」(技術評論社)を出版した。

 澤崎准教授は昨年4月から、オンライン授業のノウハウなどをユーチューブなどで発信。視聴した小中高の教員らから問い合わせが相次ぎ、出版に至った。動画作りの具体的な手順、アニメーションの効果的な使い方などを解説している。

 澤崎准教授は「学生が繰り返し学べるように授業を設計し、組み立てる必要がある。授業の目的や学びの効果などを示し、動画の中に道しるべをつけておくことが大切だ」と話す。本はB5変型判で168ページ。税抜き1980円。書店などで販売している。

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 様変わりした生活に学生から不安や心配の声も出ており、福井大は昨年3月、保健管理センターや学生総合相談室でオンライン相談の受け付けを始めた。「周りの学生の状況がわからず、自分が勉強にきちんと取り組めているかが心配」「孤独を感じる」などの相談が寄せられているという。話を聴いた臨床心理士らが必要に応じ、教員との橋渡しなどをする。

 県立大の永平寺キャンパスでは昨年12月、永平寺町商工会青年部のメンバーが町内の店で使える商品券などを学生に配布。学生からは「オンライン授業で誰とも会えなくなった。思い描いていた大学生活と違う」などの声が聞かれた。3年の細田めぐみさん(21)は「キャンパスで授業を受け、友達と会う、という『当たり前』ができないのは寂しい」と漏らす。

 「あしなが育英会」は昨年10月、全国で学生らに新型コロナの影響について調査。県内では支援を受ける保護者18人、高校生15人、大学生8人の計41件の回答があり、大学生からは「とてもお金に困っている。一人暮らしで食費や光熱費などがかかって大変」などの声があったという。

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