パラ初出場へ追い込み パワーリフティング戸田雅也選手

岡田和彦
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 【北海道】8月24日開幕予定の東京パラリンピックパワーリフティング59キロ級で初出場をめざす戸田雄也選手(38)が、6月末の日本代表選考へ向けて強化に励んでいる。新型コロナウイルスの感染拡大で国内合宿や海外の大会の一部が中止になり、難しい調整を強いられてきた。パラリンピック開幕まで24日で残り半年となる。

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 戸田選手は北海道消費者安全課で働きながら、週3回、札幌市のジムで競技連盟のヘッドコーチから示されたトレーニングのメニューをこなす。毎月1回は東京のナショナルトレーニングセンターでの強化合宿に参加している。

 練習の合間、「今年に入って、東京五輪とパラリンピックへの空気が微妙に変わったように感じる」と不安な表情をのぞかせる。「がんばれとみんながアスリートに声援を送ってくれていたのが、長引くコロナ禍で、開催している場合なのか、というような反発が広がっているように感じるようになった」

 戸田選手は26歳で、車いすでの生活を余儀なくされた。新婚旅行先のハワイでサーフィン中に激しい腰痛に見舞われて入院した。原因不明のまま帰国し、治療とリハビリを続けたが、立ち上がることができなくなった。

 枝幸町出身。かつてはスキーアルペンの選手だった。小学校で全道王者となり、中学校では全国大会回転6位。北照高校(小樽市)、法政大でも活躍したが、世界のトップに及ばなかった。選手生活をあきらめ、北洋銀行に入った。2年間のリハビリののち、退職した。

 パラスポーツにかかわるきっかけは、車いすカーリングだった。当時の勤務先の上司が知り合いだった縁で、2018年平昌五輪銅メダリストの本橋麻里選手に声をかけられた。スキーでトップ選手をめざした自負もあり、パラスポーツを甘くみる気持ちがあった。真剣に競い合う体験をして、パラリンピックへの出場をめざす決意をした。5年前、最短で結果を出したいと、パラ・パワーリフティングに飛び込んだ。

 持ち前の研究、練習熱心さで、すぐに国内のトップ級に。だが、世界の壁は厚く、現在は東京パラランキング11位。パラ出場の基準は8位以内だ。

 大会の開催は、新型コロナの感染状況によって直前に決まるため、調整は難しい。昨年10月のチャレンジカップ京都大会では、腕の筋肉がつって記録なしに終わった。階級に合わせて体重を急激に落としたことが原因だった。

 「パラリンピックが開催されると信じて準備はしている。でも、断続的に合宿や大会が中止になると、モチベーションが下がるのも事実。次のパリ大会へ照準を合わせた方がいいのかと考えたこともある」とも明かす。

 気合を入れ直して臨んだ1月30日の全日本国際招待選手権では131キロを挙げた。しかし、台頭してきた若手に次ぐ2位。代表選考はいっそう厳しさが増すことになった。

 3月に英国、6月にはドバイで続けてワールドカップがある。その結果で日本代表が決まることから、追い込みをかける。

 競技のかたわら、子どもたちにパラリンピックを紹介する活動を続ける。昨年12月には、リモート講演会に臨んだ。障害者になった時の気持ちや、パラスポーツに取り組むことになったきっかけなどを話し、「どんな状況にあっても全力で生きようと思い直した。みんなも元気を出して」と呼びかけた。

 自らの言葉を思い起こして、「不安を振り切り、日本代表を勝ち取ることに集中しよう」と気持ちを奮い立たせる。(岡田和彦)