大家さんと僕の矢部さんが選考委員に 手塚治虫文化賞

有料会員記事

小原篤
[PR]

 マンガ文化に大きな足跡を残した手塚治虫の業績を記念する第25回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の社外選考委員に、『大家さんと僕』で2018年に短編賞を受賞したお笑い芸人の矢部太郎さんが新たに加わりました。「マンガ家としてはまだまだ新人」という矢部さんが、選考委員就任に向けた思いを語ってくれました。

 芸人とマンガ家の二足のわらじ、と言われることがありますが、実はそんなにマンガの仕事も多く描けてなくて、「これでマンガ家と名乗っていいのか?」と申し訳ない気もしています。

 今やっている連載は「小説新潮」で昨年4月から始めた「ぼくのお父さん」です。『大家さんと僕』の後、父(絵本作家のやべみつのりさん)に「次は『お父さんと僕』みたいなものを描いたら」と言われ、僕の担当編集者も「お父さんて面白い人ですね」と言うので、じゃあマンガにできるかもなんて話をしていたら、お父さんからノートがどん!と何十冊も送られてきたんです。

 僕と姉が幼かった頃のことを描いた絵日記でした。育児日記だけど、お父さんにとっては「ネタ帳」みたいな意味合いもあったのかな。当時、そういうものを描いてたことは覚えていたけど、読んだことはなかったんです。

 絵日記を読み、お父さんのことや自分のことをいろいろ思い出して、「ぼくのお父さん」を始めることにしました。ご飯の時、早く食べたい僕らをずっと待たせておかずの絵を描くお父さん。僕が熱を出したら、山で取ってきたみみずを薬として出すお父さん。改めて、変わった人だなと思います。

 でも、マンガを読んだ父は「こういう風に理想の父親っぽく描かないで、もっとダメに描いてよ」。どうしてこれが「理想の父親」に見えるのか、本当によく分からないんですけど……。

 コロナ禍で劇場の出演や地方ロケが減ったりしても、マンガ制作にはあまり影響がありませんでした。自宅で独り作業をして、メールで送るだけですから。ただ、読みたい作品はちょっと変わったかも。最初に緊急事態宣言が出てこの先どうなるか分からないと感じていた時は、今の現実と地続きのものよりも遠い架空の世界や少し過去のお話――「ぼくのお父さん」もそうですけど――といったマンガの方が没入できた感じがします。皆さんはどうだったんでしょう?

 手塚治虫文化賞の選考委員のお話をいただき、すごく光栄で、名誉なことだと感じています。マンガ家としてはまだまだ新人ですし、「僕なんかが……」という気持ちもありますが、マンガが大好きだから、大好きなマンガに少しでも恩返しできることがあるならと、お引き受けしました。

 『大家さんと僕』が手塚治虫

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら