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 世界文化遺産の構成資産「黒島の集落」のシンボルで、国の重要文化財でもある黒島天主堂(長崎県佐世保市黒島町)が2年がかりの保存修理・耐震対策工事を終えた。23日、「感謝のミサ」と完工式が催され、報道陣に披露された。24日から一般に公開される。

 ミサは、新型コロナウイルス感染症を警戒し、信者代表ら5人に限った。工事を発注したカトリック長崎大司教区の高見三明・大司教は「教会堂は大切な場所だが、信仰の対象ではない。これを機に改めて信者にふさわしい生活をし、島の共同体をつくっていきましょう」と語りかけた。

 明治初期、島の潜伏キリシタンは禁教令が解かれてカトリックに復帰。木造の初代に代わり、フランス人のマルマン神父の指揮のもと、信者全員が献金や労働奉仕をして明治35(1902)年に完成させたのが今の天主堂だ。2018年には、世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に登録され、その構成資産の一つ「黒島の集落」の象徴として、観光客の増加を後押しした。

「頭が下がる思い」

 13年からの調査で震度6程度の地震で倒壊の恐れが判明した。れんが造りの建造物の耐震補強というまれな工事とあって、18年にあった2度の入札には応札業者が現れず、19年3月にようやく着工できた。雨漏りやしっくい壁の崩れなどの修復も併せて実施。公益財団法人・朝日新聞文化財団も助成した。

 耐震工事は、れんがの外壁に縦に穴を開け、建物の周囲に計72本のステンレス棒を基礎まで通して固定。各所で補強材を目立たせない工夫をした。屋根瓦は全てふき替えた。れんが壁はコケを落とし、茶色が鮮明になった。脇の出入り口の地下から四つのロザリオが見つかり、創建時に埋めたものと推測された。

 工事を手掛けた業者は「120年前に国内外の資材を集め、よくぞこれほどの建て物を造ったものと、神父に頭が下がる思い」と語った。来訪の際は、教会群インフォメーションセンター(095・823・7650)に事前に連絡が必要だ。(原口晋也)