事故後の福島、イメージ「回復」50% 共同世論調査

古庄暢、福地慶太郎
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 朝日新聞社と福島放送(KFB)が行った福島県民対象の世論調査(電話)では、東京電力福島第一原発事故前の「福島」のイメージが「回復した」と「回復していない」はほぼ半々だった。県などは風評対策に力を入れてきたが、傷ついたイメージの回復が途上であることが浮き彫りとなった。(古庄暢、福地慶太郎

 事故前の「福島」のイメージが「回復した」と思う人は「大いに」「ある程度」を合わせ50%、「回復していない」は「まったく」「あまり」を合わせ48%だった。「回復していない」が68%を占めた2016年調査からは改善した。

 県は県産品の販路回復や観光客の増加に向けた「風評・風化被害対策費」として、16年度から計611億円をあてた。消費者庁の風評に関する意識調査では、放射性物質を理由に県産品の購入を「ためらう」人は、13年の19・4%から昨年は10・7%に低下。

 イメージアップにつなげるため、外部の機関からの「お墨付き」も重視。日本酒全国新酒鑑評会の金賞受賞数や米の「食味ランキング」の評価数などで、品質の高さや安全性をアピールしてきた。

 ただ、「回復した」と思う人の割合は、県民より全国の方が低かった。13、14日の全国世論調査(電話)では40%で、イメージ回復の取り組みは十分に浸透しているとは言えない。

 原発事故へのこれまでの政府の対応については「評価しない」が50%で、「評価する」は28%にとどまった。「評価しない」が約8割を占めた11、12年から縮小したが、復興のあり方や成果などへの不満が根強いことがうかがえる。

地域活性化「期待できない」72%

 避難指示が解除されても帰還する人は頭打ちで、国や県は県内外から移住者を呼び込もうとしている。こうした政策での地域活性化には「期待できない」が72%、「できる」の21%を大きく上回った。

 東電がこの10年間、事故への責任を果たしてきたかについては「きた」が39%で、「こなかった」43%。廃炉作業の遅れに加え、賠償への姿勢が影響した可能性がある。

 県が事故後4カ月間の外部被曝(ひばく)線量の推計や甲状腺検査などをする「県民健康調査」については、自身の健康不安の解消に「役立っている」は50%、「いない」が39%だった。

 福島第一原発の廃炉が完了した時、どんな姿が望ましいか――。国と東電は具体的に示していないが、事故の痕跡として施設を「残すほうがよい」が53%、「残さないほうがよい」が40%だった。

 地元からは更地に戻すべきだとの声がある一方、研究者からは「後世に伝えるため、一部の施設を残してはどうか」との意見も出ている。

     ◇

 国と東電は、第一原発の廃炉作業が「30~40年で完了する」としている。だが、予定通り進むと「期待できない」が74%で、「期待できる」の19%を大きく上回った。専門家にも「30~40年では終わらない」との見方がある中、県民も廃炉の難しさを感じている。

 原発事故の放射性物質が自分や家族に与える影響を「不安を感じている」人は、「大いに」「ある程度」を合わせて64%。「中通り」「会津」は6割前後だったのに対し、「浜通り」は75%に上った。

 県全体の「不安を感じている」と思う人は2011年の91%をピークに減少傾向だが、19年以降は60%前後でほぼ横ばい。事故から10年が経過しても、多くの人が不安を抱えている。

 県が事故後4カ月間の外部被曝(ひばく)線量の推計や甲状腺検査などをする「県民健康調査」については、自身の健康不安の解消に「役立っている」は50%、「いない」が39%だった。

     ◇

 福島第一原発の廃炉が完了した時、どんな姿が望ましいか。国と東電は具体的に示していないが、事故の痕跡として施設を「残すほうがよい」が53%、「残さないほうがよい」が40%だった。更地に戻すべきだとの声がある一方、研究者からは「後世に伝えるため、一部の施設を残してはどうか」との意見も出ている。

県民世論調査 質問と回答

◆あなたは、いま停止している原子力発電所の運転を再開することに、賛成ですか。反対ですか。

賛成            16(32)

反対            69(53)

◆あなたは、福島第一原子力発電所の事故に対する、これまでの政府の対応を評価しますか。評価しませんか。

評価する             28

評価しない            50

◆福島第一原発の事故を防げなかったことについて、あなたは、国にどの程度責任があると思いますか。

大いに責任がある         33

ある程度責任がある        51

あまり責任はない         11

まったく責任はない        3

◆あなたは、東京電力がこの10年間、福島第一原発の事故に対する責任を果たしてきたと思いますか。果たしてこなかったと思いますか。

果たしてきた           39

果たしてこなかった        43

◆福島第一原発では、汚染水をタンクにため続けています。あなたは、タンクの水から大半の放射性物質を取り除いた処理水を、薄めて海に流すことに賛成ですか。反対ですか。

賛成               35

反対               53

◆あなたは、処理水を薄めて海に流すことで、風評被害が起きる不安を、どの程度、感じますか。

大いに感じる           48

ある程度感じる          39

あまり感じない          9

まったく感じない         2

東日本大震災や原発事故から10年がたち、あなたは、福島の復興への道すじが、どの程度ついたと思いますか。

大いについた           3

ある程度ついた          47

あまりついていない        43

まったくついていない       6

◆あなたは、福島第一原発の事故による放射性物質があなたやご家族に与える影響について、どの程度、不安を感じていますか。

大いに感じている         16

ある程度感じている        48

あまり感じていない        29

まったく感じていない       6

◆放射線の影響を調べる県民健康調査は、あなたの健康不安を解消することに役立っていると思いますか。役立っていないと思いますか。

役立っている           50

役立っていない          39

◆あなたは、今の日本社会が、福島第一原発の事故の教訓を生かせていると思いますか。生かせていないと思いますか。

生かせている           32

生かせていない          57

◆あなたは、これから先、国民の間で福島第一原発の事故の被災者への関心が薄れていく不安を、どの程度、感じますか。

大いに感じる           34

ある程度感じる          45

あまり感じない          17

まったく感じない         2

◆あなたは、原発事故前の「福島」のイメージが、どの程度回復したと思いますか。

大いに回復した       4(4)

ある程度回復した      46(36)

あまり回復していない    43(45)

まったく回復していない   5(11)

◆あなたは、福島第一原発の周辺自治体に移住する人を呼び込む政府の政策で、原発周辺の地域が活性化することを期待できると思いますか。期待できないと思いますか。

期待できる            21

期待できない           72

◆あなたは、福島第一原発の廃炉作業が、予定通り進むことを期待できると思いますか。期待できないと思いますか。

期待できる            19

期待できない           74

◆福島第一原発の施設の一部を、歴史的な原子力事故を起こした痕跡として残すほうがよいという考え方があります。あなたは、福島第一原発の施設を、原発事故の痕跡として残すほうがよいと思いますか。残さないほうがよいと思いますか。

残すほうがよい          53

残さないほうがよい        40

     ◇

調査は今月20、21日に実施し、1049人から有効回答を得た。回答の数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。丸カッコ内の数字は今月13、14日の全国定例世論調査の結果