サウジのヤマニ元石油相が死去 オイルショックの引き金

ドバイ=伊藤喜之

 サウジアラビアの元石油相で、世界のエネルギー市場に多大な影響力を及ぼしたアハメド・ザキ・ヤマニ氏がロンドンで死去した。23日、サウジの国営メディアが伝えた。90歳だった。

 1930年、サウジのメッカに生まれた。62年から86年まで同国の石油・鉱物資源相を務め、アラブ産油国でつくる石油輸出国機構(OPEC)の穏健派の顔役として石油価格の調整などに奔走した。

 73年、第4次中東戦争が起きると、イスラエルと関係が深い国々へのOPECによる石油禁輸措置や石油減産を主導。日本を含めた各国で油価が高騰し、第1次石油危機(オイルショック)を引き起こした。

 75年のウィーンでのOPEC会合では、ベネズエラ人らの過激派の襲撃事件で一時人質となった。80年には国際石油資本(メジャー)傘下にあったアラビアン・アメリカン石油会社(アラムコ)の株式100%国有化を実現。現在の世界最大の国営石油会社サウジアラムコの設立(88年)への流れをつくった。

 王族が政治経済の実権を握るサウジで、一般国民の出自ながら国の重要ポストを任され、ヤマニ氏の言動でエネルギー市場は大きく動いた。86年に解任された後はロンドンに拠点を移し、石油シンクタンクを主宰し、発信を続けた。2000年には「石器時代は、石が足りなくなったわけでもないのに滅びた。石油の時代も、石油不足のためではなく、終焉(しゅうえん)するかもしれない」と述べ、産油国の石油依存経済に警鐘も鳴らしていた。(ドバイ=伊藤喜之)