ライブは違うやろ? #コロナを生きる言葉集

岩田誠司
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#コロナを生きる言葉集

 ライブは違うやろ?(アコースティックデュオ「唄人羽(うたいびとはね)」の安岡信一が、約1年ぶりのステージで)

 緊急事態宣言下の1月17日、福岡と佐賀出身の2人によるアコースティックデュオ「唄人羽(うたいびとはね)」が福岡・天神でライブを開いた。ギターの安岡信一(43)は、約1年ぶりに立ったステージで客を見回し、ニヤリと笑った。「ライブは違うやろ?」

 最前列にいた40代の女性は、演奏が始まった瞬間、涙がこみあげた。「心臓が、体が、音と振動を感じて鳥肌が立った。ライブだ!!って」

 インターネット配信は遠方のファンにも見てもらえるし、過去のアルバムを振り返るなどの企画を楽しんでもらえた。ただ、スタジオの中でカメラに向かって歌うだけでは、満たされないものが常にあった。

 目の前ではじける笑顔や歓声、そして涙。誰かを癒やしたり勇気づけたりできているという実感。「それが音楽を続けるモチベーションになっていたと気付いた。ライブができない日々は、音楽をやる意味を見失い、やめたいとさえ思った」と安岡は言う。

 第2波がおさまった昨秋、1月のライブ開催を決めた。観客は収容人数の40%に絞り、定期的に15分の休憩をとって換気した。マスクを着用のうえ、歓声や会話は控えるようお願いした。観客は手拍子と拍手でそれに応えた。

 「コロナ下でも安全にライブができると証明できれば、お金は回るようになる」。ボーカルの本多哲郎(41)は、「3密」のイメージがついたライブ業界の苦境を思う。東京で十数年お世話になったライブハウスも閉鎖。照明や音響のスタッフも仕事が激減している。

 ライブから2週間後。公式ブログで感染防止の協力へのお礼と、感染者が出ていないことを伝えた。「慎重に、成功例を積み重ねていきたい。それが、僕たちのできること」(岩田誠司)

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 誰もが経験したことのない日々が続いています。様々な立場、場面の言葉を集めます。明日に向かうための「#コロナを生きる言葉集」。

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