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 耕作放棄地で米づくりをしながら、サッカー選手としてプレーする。そんな「半農半スポーツ」に取り組むクラブが、新潟県十日町市の松代地区にある。山あいの過疎地で選手をどう集め、チームを維持しているのか。地方創生の新たな挑戦を探った。(小川聡仁)

 「新米できました。私たちはサッカーに対する愛と同じくらいの愛をお米に込めながら里山保全の担い手として耕作をしています」。昨秋、サッカーチーム・FC越後妻有(つまり)のフェイスブックに載った投稿だ。写真の選手らは雪と米をイメージしたユニホーム姿。米俵や稲も持っている。

 チームは2015年にでき、地元の芸術祭「大地の芸術祭」を担うNPO法人・越後妻有里山協働機構(十日町市)が運営している。現役としてサッカーを続けたい女子選手と、過疎化で荒れる棚田の耕作者確保の両立が狙い。選手は、農繁期には午前に練習を数時間、午後に田植えや稲刈りという「二足のわらじ」を履く日々だ。

 サッカーの練習拠点は地元の廃校。芝を敷いた校庭で練習し、豪雪の冬場は体育館を使う。選手は9人。チーム外の応援メンバーを加えて戦った昨季は県内リーグを5戦全勝し、6チームで争う北信越リーグ(2部)への昇格を勝ち取った。

 発足当初、メンバーはわずか2人だった。大学卒業後もプレーを続けたかったという青森県出身の大平理恵さん(27)と、兵庫県出身の石渡美里さん(27)。いずれも農業は未経験で、石渡さんは水田で足が抜けず動けなくて困ったという。「半泣きになりながら作業した日もあった。来て1カ月で『やめてやる』と思っていた」と話す。数年間はメンバーが増えたり減ったりを繰り返し、「サッカーをやりに来たのに、サッカーができないことが一番辛かった」と振り返る。

 軌道に乗り始めたのは、環境整備に着手してから。約100万円の費用に地元住民の協力も借り、19年以降に廃校の旧校舎内にトレーニング室やロッカー室ができた。近くに寮も用意。すると昨春に4人が加わり、3月に2人、さらに4月に4人が加入予定だ。

 運営にも関わるGMを一昨年から兼ねる江副良治監督(47)は「山奥の豪雪地帯に選手を呼ぶには、環境面での差別化が必要と考えた」という。

 発足メンバーの一人、大平さんは「ようやくという感じ。結果を出して、チームとして活動できる状態じゃないと、人はやって来づらいことが分かった」と話す。地元住民の応援も力になったといい、「練習してると『野菜持って帰りな』と言ってもらい、トマトやキュウリを抱えて走って帰ることもあった」そうだ。

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 越後妻有里山協働機構は、チームの選手と数人の専業スタッフを雇い、持ち主の高齢化などで作業ができなくなった農地を借り上げ、耕作している。その面積、昨季は東京ドーム約1・6個分に当たる7万6190平方メートルだった。

 十日町市によると、市内で農林…

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