【動画】ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボ中心部=国末憲人撮影
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ボスニア 分断の現在地:上

ボスニア連載
1990年代に内戦となったバルカンの小国で、旧ユーゴスラビアの一部だったボスニア・ヘルツェゴビナ。いまも分断が残る現地の様子を、3回にわたってお伝えします。

 大統領が5人、首相は14人いる国が欧州にある。バルカン半島の小国で、旧ユーゴスラビアの一部だったボスニア・ヘルツェゴビナだ。「民族浄化」の内戦の教訓から、権限を分散させる政治を始めて、25年あまり。国内が民族や地域で細かく隔てられ、今なお、分断の苦悩は深い。現場を訪ねた。(モスタル=国末憲人)

 ボスニア・ヘルツェゴビナ南部の中心都市モスタルは、アドリア海へと注ぐネレトバ川の左右に開けた街だ。川の西側、ショッピングセンターの1階にあるマクドナルドで、14歳の少女が友人を待っていた。中学生のラミヤさん。「ハンバーガーが大好き。毎週来ています」。川の東側から橋を渡って来たという。

 その橋は、二つの別世界を結ぶ橋でもある。ラミヤさんは「この街で、川の西と東はすべて別々。私は気にしないけど」。

 人口約10万人のこの街で、約半数を占めるイスラム教徒のボシュニャク系は川の東、カトリックのクロアチア系は西に分かれて暮らす。ラミヤさんはボシュニャク系。クラスメートにクロアチア系はいない。

東西で交流はなし

 消防署も病院も公立大学も、あらゆる施設が東と西に一つずつある。市バスも東西2系統が交わらない。街のサッカークラブも別々で、東西の市民間の交流はほぼゼロだ。

 多くの人は対岸に行こうとしない。「ただ、マクドナルドと(衣料品の)ZARAだけは西側に1店舗しかないから、東側からも来るのです」と市議のイルマ・バラリヤさん(36)が苦笑した。

 「救急車を呼んでも、遠い近い…

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