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ボスニア 分断の現在地:下

 ボスニア・ヘルツェゴビナ北東部のブルチコは、中央政府直轄の地域だ。「国家内国家」とでも言うべきボシュニャク系とクロアチア系主体の「ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦」にも、セルビア系主体の「スルプスカ共和国」にも属さない特別な場所。この行政区で昨年、25歳の青年が史上最年少の議員となった。(サラエボ=国末憲人)

 ブルチコは街と周辺で行政区を形成し、首相格の市長、閣僚、議会を持つ。人口は、ボシュニャク系とセルビア系が拮抗(きっこう)している。「連邦」の経済に不可欠な国内最大の河川港がある一方で、「共和国」はここを失うと細長い領土が東西に分断されてしまう。双方譲れないことが、街の特殊な地位につながった。

 昨年、改革を掲げて史上最年少で当選した議員は、アブドゥラ・イリャゾビッチさん(25)。地元ボシュニャク系企業家の御曹司だが、一時生活が荒れ、麻薬密売に手を染めて逮捕もされた。経験を選挙戦で率直に語り、若者らの広い支持を得たという。

 議員を志したのは、既存の政治に対して同世代が抱く絶望を感じたからだ。この国の複雑な制度を利用して旧世代が既得権益を手放さない。「腐敗がひどく、賄賂がすべて。選挙戦でも1票25ユーロ(約3千円)の取引を持ちかけられた」。もちろん断った。実際、この国での選挙の不正は周知の事実。以前の選挙では、投票率が100%を超えたこともあった。

 「この狭い行政区で大臣が15…

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