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 国公立大学の個別試験(2次試験)が25日、始まった。新型コロナウイルスの感染拡大は収束せず、首都圏などは緊急事態宣言下にあるが、大半の大学は予定通り実施した。一方で感染リスクを理由に急きょ中止を決める大学もあり、直前まで混乱した。

 文部科学省によると、25日からの前期日程では169大学582学部に23万5403人が志願した。倍率は2・9倍で、昨年より0・1ポイント低くなった。今後は3月8日から中期日程、3月12日から後期日程が控える。

 今期の大学入試は、コロナ禍に翻弄(ほんろう)された。25日に東京大を受験した新潟県上越市の県立高3年の男子生徒(18)は「年明けから感染者が増え、入試がどうなるか不安だった。無事に今日を迎えられて、ほっとした」と語った。

 25日に大阪大を受験した熊本市の公立高3年の男子生徒(18)は、感染予防のため、1月の大学入学共通テスト以降は自宅と学校の行き帰り以外、外出しないようにしたという。私立大の併願もしておらず、「万全の体調で受けたかった。無事、当日を迎えられてよかった」と話した。

 大阪大理学部を受けた愛知県の公立高3年の男子生徒(18)は、新型コロナの影響で、例年より模試を受ける回数が少なかったという。「受験生の中で自分がどれくらいの位置にいるのか、不安が残った」

 文科省は個別試験に先立つ大学入学共通テストのコロナ対応を徹底し、新たに第2日程や特例追試験を設定して実施にこぎつけた。だが、個別試験については各大学の足並みが乱れた。志望校まで長距離移動する受験生が多く、移動中の感染リスクへの懸念がぬぐえないためだ。

 横浜国立大はこのリスクを重くみて、昨年7月に個別試験の中止を決定。神奈川県外からの受験生が3分の2を占め、遠方から受ける志願者も多い点を考慮したという。土壇場で取りやめる動きも出た。緊急事態宣言の対象区域に入っていた栃木県の宇都宮大が1月21日に急きょ中止を発表したほか、信州大も人文学部と経法学部で中止を決めた。

 個別試験をしない大学は原則、共通テストの成績で合否を決めるが、国公立大の受験生の多くは個別試験がある前提で勉強をしている。文科省は1月22日、選抜方法の大きな変更は受験生に多大な不利益を与えるおそれがあるとして、各校に慎重な検討を求めた。

 駿台教育研究所の石原賢一進学情報事業部長は、今後、コロナ禍が長引いたとしても、共通テストだけでの選抜は広がらないとみる。難関大や医学部を受験する志願者の多くは共通テストで高得点をとり、差がつきにくいためだ。「感染症が広がりやすい冬場の一斉試験だけでなく、推薦入試の拡大など幅広い選抜に本腰を入れていくべきではないか」と話す。(土屋亮、山田健悟)