東アフリカのタンザニアを訪れる外国人が急増している。マグフリ大統領が昨年6月に「新型コロナウイルスから解放された」と宣言したこともあり、島のリゾートへの観光客の呼び込みに成功しつつある。だが、マスク着用などの対策は徹底されておらず、新たに感染が拡大しているとみられる。各国大使館は警戒を呼びかけている。
観光地で知られるインド洋の島ザンジバル。地元観光関係者が撮影した映像では、欧州から訪れた観光客で街やビーチがにぎわっている様子が確認できる。入国後の隔離措置はなく、地元住民や観光客のほとんどがマスクをつけていないのが現状だ。
地元のタクシー運転手男性(40)は、「ロシアやポーランド、フランスなどから観光客がたくさん来ている」と喜び、こう付け加えた。「ザンジバルにはコロナはないんだ。全てがうまくいっている」
ザンジバルの空港広報担当者は地元紙に「コロナが存在しないことで観光客の呼び込みに成功している」と強調した。
島のホテル経営者の一人は、「昨年4月以降ほとんど客がいない状態が続いたが、クリスマス休暇が始まる12月あたりから一気に客が増えた。ロシアからチャーター便が出ていることも大きい。今年に入ってからは前年よりも売り上げが多いくらいだ」と説明。宿泊客からは「新型コロナによる規制で旅行に行ける国がほとんどない」と、ザンジバルを訪れた理由を聞いたという。
観光客が増えることで感染が拡大することへの懸念については「危険なのは分かるが、その日暮らしの人も多く、規制をかけると餓死すると訴える人もいる。これも観光に頼る貧しい国の一つのあり方なのだろう」と話す。
タンザニアは昨年4~5月に感染者数など新型コロナに関する統計の公表を中止。マグフリ大統領は6月、「神のおかげで新型コロナは取り除かれた」と収束を宣言した。このため、現在でも感染者数は509人、死者は21人で更新が止まっている。
ザンジバル統計当局によると、昨年1月に島を訪れた外国人は6万人を超えたが、新型コロナによる国際線の停止などの影響で同5月には197人にまで減少した。しかし、大統領の「コロナフリー」宣言後の7月には約3千人、11月には2万9千人と急激に回復してきており、12月以降はさらに増えているとみられる。(ヨハネスブルク=遠藤雄司)
タンザニア経済を支える観光客の回復は、一方で新型コロナの感染拡大を引き起こしているとも指摘されている。各国の大使館などはタンザニアへの渡航を控えるよう呼びかけている。
日本の外務省は9日、国際機関…
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朝日新聞国際報道部