コロナワクチン「ノーベル賞級」 変異型にも迅速に対応

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服部尚
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がんなど、治療応用に期待

 日本でも接種が始まった新型コロナウイルスワクチンは「mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン」と呼ばれ、初めて実用化された技術を使っている。この技術に詳しい飯笹(いいざさ)久・島根大准教授(微生物学)は「ノーベル賞級の研究だ」と称賛する。どんな点が画期的なのだろう。

 「ウイルスの感染を抑えるだけでなく、もう一つか二つ、病気の治療に応用できたら、ノーベル賞にもつながるでしょう」

 飯笹さんはmRNAワクチンをこう評価する。

 mRNAは、ヒトの体内向けの「指示書」のようなものだ。新型コロナウイルスのたんぱく質を作るmRNAを注射することで、ヒトの細胞の中にあるたんぱく質を作る装置にウイルスのたんぱく質を作らせる。

 この原理を使えば、治療に必要なたんぱく質を作り出すこともできる。感染症にかかわらず、さまざまな病気の治療に応用できるのではと期待されている。

 「最近、自己免疫疾患である多発性硬化症の治療に使えるかもしれないという報告も出ました。がんだけに出るたんぱく質を増やして、このたんぱく質をターゲットにする治療薬の効果を高めることも考えられます」

 先天性の遺伝子疾患で、欠けている遺伝情報を補って必要なたんぱく質を作らせることも可能になるかもしれないという。

90年代から始まった開発

 mRNAを使ったワクチンの開発は、1990年代から始まった。だが、免疫の反応として炎症が強く出る割には、免疫をつける効果が低く、mRNAもすぐに壊れるという欠点があった。

 この問題を克服したのが、ペンシルベニア大学のカタリン・カリコ博士(現ビオンテック社)だった。

 「mRNAを壊れるのを防ぐ…

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服部尚

服部尚(はっとり・ひさし)朝日新聞記者

福井支局をふり出しに、東京や大阪の科学医療部で長く勤務。原発、エネルギー、環境、医療、医学分野を担当。東日本大震災時は科学医療部デスク。編集委員を経て現職。