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トヨタの実験都市(下)

 富士山の壮大な風景を背負った、トヨタ自動車東日本の東富士工場跡地(静岡県裾野市)を舞台に、トヨタが実験都市「ウーブン・シティ(Woven City)」の構想を米国で発表したのは2020年1月。人口約5万人の日本の地方都市「Susono」に、国内外の先端技術をもった企業や団体の注目が集まっている。トヨタは街づくりで他業種との連携をめざし、これまでに3千を超える企業や個人から応募があるという。

 建設地から南に約9キロ。同県長泉町では、県立静岡がんセンターを中心とした県の「ファルマバレー(医療城下町)プロジェクト」が進んでいる。医療機器・医薬品の生産額で県は10年連続で全国一。県はファルマバレーとウーブンの連携をめざし、県出資の法人がトヨタのパートナーに応募した。関係者は固唾(かたず)をのんで決定を待っている。川勝平太知事は「(ウーブン)周辺で医療、買い物、教育が必要になるだろう。県として協力していきたい」と話す。

 トヨタがつくる実験都市。伴走する企業や、地元の動きを3回で伝えます。

 裾野市を含む県東部は高度経済成長のころ、富士山麓(さんろく)の豊富な水を求め、繊維や機械メーカーが進出した。東富士工場の開設は前身の関東自動車工業だった1967年。目の前の東名高速道路の一部開通を控えてカローラがよく売れ、モータリゼーションの時代を迎えていた。工場では最高級車センチュリーやワゴン型のジャパンタクシーがつくられ、従業員は「少し難しい車を手がけている」とのプライドを持ってきたという。ただ、近年はこの地域でも事業所の海外移転や人口減少が進んだ。トヨタも東日本大震災の復興支援もあって機能を東北に移すことにした。昨年末の閉鎖の前の東富士工場の従業員は約1100人。トヨタグループの存在感が大きい「城下町」に衝撃が残るなかで出た、ウーブンの構想だった。

 地域再生の未来へ期待が膨らむ一方、共存共栄への手探りは続く。

ウーブン「浮いた空間にしない」

 ウーブン着工直前の今月15日…

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