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 ダンテの「神曲」の名訳で知られる英文学者、寿岳文章(じゅがくぶんしょう)さん(1900~92)の人生や業績を紹介する特別展が、京都府向日市文化資料館(同市寺戸町南垣内)で開かれている。同市の邸宅「向日庵(こうじつあん)」に保管されていた著書や日記、和紙の関連資料など約90件を展示している。3月21日まで。

 寿岳さんは、英国の詩人ブレイクの研究でも知られる。翻訳家・文筆家の妻しづ(静子)さん(1901~81)とともに私家版の「向日庵本」を作る一方、衰退しつつあった日本各地の手すき紙産地を現地調査し、和紙研究のパイオニアとしても活躍した。

 「広辞苑」の編集で知られる言語学者の新村出(しんむらいずる)さんや、柳宗悦(やなぎむねよし)さんら民芸運動の同人らと親交を結び、英文学・書物の研究や和紙の復興に努めるとともに、英語を駆使して日本文化を世界に紹介。新聞や雑誌に意見を発表するオピニオンリーダーの役割も果たした。

 しづさんの兄・岩橋武夫さんは視覚障害者福祉に尽力し、日本ライトハウスを設立した。特別展の会場では、評論家の故・鶴見俊輔さんが一家について評した言葉「この家はながいあいだにつちかわれたしなやかさをもって、家庭の気風をかえず戦争時代をたえぬいた。寿岳文章の著作を支えるのは、この家庭の気風である」も紹介している。

 資料館の玉城(たまき)玲子館長は「寿岳さんは書斎に閉じこもるのでなく、社会と関わり続けた。展示を通し、その存在と仕事を知ってほしい」と話す。入館無料。午前10時~午後6時。月曜と3月2日は休館。問い合わせは同館(075・931・1182)へ。(大村治郎)

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