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 バイデン米大統領が、通商交渉を担う閣僚級ポストの通商代表部(USTR)代表に指名したキャサリン・タイ氏が25日、米上院での承認公聴会で、環太平洋経済連携協定(TPP)について「中国という難題を念頭に、米国が経済的、戦略的な利益を共有する友好国と協調するというTPPの『基本公式』は今日でも妥当なものだ」と述べた。

 TPPはかつてバイデン氏が副大統領として主導した貿易協定だが、その後、トランプ前政権が発足直後に離脱した。バイデン政権が今後、国内で反発が根強いTPPに復帰する見通しは乏しく、タイ氏も「この5~6年で、世界は大きく変わった」と認めた。ただ、日米などが次世代の通商ルールづくりで連携し、中国を牽制(けんせい)する戦略の意義は支持する姿勢を示した。

 トランプ前政権で通商外交を主導したライトハイザー通商代表との連続性も浮かび上がった。米議会では、トランプ氏が恣意(しい)的に制裁関税を使うことへの反発は強かったものの、中国への強硬姿勢などは超党派で支持されていた。保護主義的に修正された「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の実施法案は上下院ともに圧倒的多数の支持を得て議会を通過した。

 この際、民主党が支配していた下院の法律顧問として、法案成立に向けて尽力したのがタイ氏だった。タイ氏は「労働者中心の通商政策」を進める、と強調。グローバルに展開する多国籍企業よりも国内労働者を優先すると唱えたライトハイザー氏の路線を色濃く残すものだ。タイ氏の公聴会は野党の共和党議員も含め、新代表への異例の「歓迎ムード」で終始した。(ワシントン=青山直篤)