第79期将棋名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の最終9回戦5局が26日午前9時、静岡市葵区の料亭「浮月楼」で一斉に始まった。トップ棋士の地位と名誉を懸けた戦いが深夜まで続くことから、「将棋界の一番長い日」と称される一大イベントだ。
ここまで7勝1敗で首位を走るのは、A級初参加の斎藤慎太郎八段(27)。名人3連覇の実績を持つ佐藤天彦九段(33)と戦い、勝てば渡辺明名人(36)への挑戦が決まる。もう1人、挑戦の可能性があるのが6勝2敗の広瀬章人八段(34)。自身が勝ち、斎藤八段が敗れれば、プレーオフとなる。相手は、前名人の豊島将之竜王(30)だ。稲葉陽(あきら)八段(32)と三浦弘行九段(47)は降級が決まっている。(村瀬信也)
佐藤天彦九段が投了。斎藤慎太郎八段が163手で勝って、今期A級を8勝1敗で終えた。敗れた佐藤天九段は4勝5敗となった。
斎藤八段は「終盤に見落としがあって、最後までわからなかった。勝ちになったかなと思ってから、長くなってしまった」と振り返った。8勝1敗という成績については「実力以上の成績になった。集中力を切らさず指せた」。初めてとなる名人戦の舞台に向けて、「雰囲気にのまれず、自分の将棋で戦いたい」と語った。佐藤天九段は「左右の駒が分裂している感じで、まとめづらい将棋になってしまった」と話した。
佐藤康光九段が172手で投了。菅井竜也八段が勝ってリーグ成績を5勝4敗とした。敗れた佐藤康九段は4勝5敗となった。
対局を終えた羽生善治九段が検討室に姿を見せた。淡路仁茂九段、鈴木大介九段らの検討を、少し離れた席に座って見守る。
拡大する検討室に姿を見せた羽生善治九段(中央奥)。検討の様子を眺めている=2021年2月26日午後、静岡市葵区、村上耕司撮影
羽生九段は4勝5敗で今期A級を終えた。「A級では小さいミスがそのまま勝負に直結してしまう。今期は勝っている局面で投げてしまった将棋もあった(6回戦の豊島将之竜王戦)。精度を上げないといけない」と話した。(村瀬信也)
羽生善治九段―三浦弘行九段戦は、羽生九段が94手で勝った。
豊島将之竜王と対戦していた広瀬章人八段が投了。斎藤慎太郎八段の名人挑戦が決まった。
糸谷哲郎八段―稲葉陽八段戦は、糸谷八段が93手で勝利した。
「豊島竜王が勝ちそう」と、渡辺明名人を含む検討陣が何度も繰り返し始めた。
豊島将之竜王勝ち=広瀬章人八…
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