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 名古屋市で1月24日、元会社員の男性(当時65)が10カ所の病院に救急搬送を断られ、途中で心肺停止状態になり、搬送先の病院で死亡した。突然、死を知らされた男性の兄(68)が「これは日本中で起きうる話。二度と同じことが起きないよう、弟に何が起きたか伝えたい」と、朝日新聞の取材に応じた。

 「2日前から腰が痛くて寝られない。運動で散歩せないかん」

 1月24日、男性は午前中から以前の勤務先の元同僚ら3人と会い、体の不調を口にしていた。月1回、男性と元同僚らは4、5人で集まって食事をすることがあった。だが、この日は食事をせずに帰ると言うので元同僚が午後6時40分ごろ、家の近くまで車で送った。

 男性自身が119番通報したのは、その直後だったとみられる。名古屋市の発表によると、午後7時ごろ通報があり、救急隊が13分後に到着。搬送する病院を探し、市内の病院10カ所に計11回受け入れを依頼したが「ベッドが満床」などの理由で断られた。いずれの病院も、新型コロナウイルス感染者の入院を受け入れている病院だった。

 11カ所目で市外の病院への搬送が決まった。出動指令からすでに43分。向かう途中で心肺停止状態になった。結局、病院到着までに計1時間6分かかった。

 市では、通報から病院到着に要した時間は2019年で平均約30分で、倍以上の時間がかかったことになる。市によると、搬送に時間がかかって心肺停止になった例は初めてという。

 男性の死因は、急性心不全による低酸素脳症。死亡診断書に心不全が起きた原因は書かれていないが、持病の糖尿病やがんなどが影響したとある。

 男性は、周りに親族の連絡先を知る人がなく身寄りがないと思われていた。「亡くなった」と病院から連絡を受けたのも以前の勤務先と、直前まで一緒にいた元同僚だ。男性が入社時に提出した資料にあった兄の連絡先は電話がつながらなかった。25日、男性の遺体は葬儀場に移されたが、葬儀日程を決められないまま何日も過ぎた。

 元同僚は、男性の死亡が確認された病院がある自治体から「友人葬」をする意向があるか確認された。葬儀場から見積もりを取り、カンパを募って準備を進めたが「なんとか家族を見つけてあげたい」と思った。電話は通じなかったが、兄の名前と住所を手がかりに電話番号案内「104」で今の電話番号を探し当てた。

弟に何が起こったのか 真実が知りたい

 2月1日、ようやく兄に連絡がついた。

 兄は、突然の知らせに「なぜ警…

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